ファイナンス 2023年6月号 No.691
24/78

債権者国際機関等二国間債権者 うち中国(注1)   日本   インド(注2)民間債権者(注3)その他(注4)合計出典:スリランカ政府資料に基づき、財務省にて作成注1:中国輸出入銀行、中国政府による貸付の合計注2:インド輸出入銀行、インドステイト銀行の貸付の合計注3:スリランカ政府は、中国国家開発銀行の債権を民間債権として分類(債権額:約28億㌦)注4:中国人民銀行による通貨スワップを含む債権額41億㌦27億㌦17億㌦割合10%7%4%5%*4) 2020年11月、G20にて承認された、ケースバイケースで低所得国(注:債務支払猶予イニシアティブ(DSSI:Debt Service Suspension Initiative)」の対象国73か国)向けの債務再編を行うに当たっての枠組み。本枠組みはパリクラブでも承認。中国を含むG20の非パリクラブ国が、債務再編をパリクラブと共通の枠組みの下、合同で行うことを初めて約束したもの。「共通枠組」の下、これまで4カ国が債務再編を要請しており、ザンビア・エチオピア・ガーナについては債務再編交渉中。チャドの債務再編は完了済。2022年4月、スリランカ財務省、公的対外債務の返済の一時的支払停止を発表。IMF支援プログラムによる支援を要請。2022年8月、ウィクラマシンハ大統領が日本に、債務再編の主導を要請しているとの報道が流れる。2022年9月、スリランカ当局とIMFのスタッフとの間で、IMF支援プログラムの事務レベルでの合意。2023年1月下旬、インド等の非パリクラブ国とパリクラブが、債務再編のコミットメント(資金保証)を公表。2023年3月、中国も資金保証を供与。3月20日、IMF支援プログラムの理事会承認。2023年5月、第1回スリランカ債権国会合を開催。2023年4月、IMF・世界銀行春会合のマージンで、スリランカ債権国会合の発足に係るメディアイベントを開催。115億㌦101億㌦178億㌦20億㌦415億㌦28%24%43%100%(図2)スリランカのこれまでの債務再編に向けた動き(図1)スリランカの公的対外債務構成(国営企業向け等を含む)(2022年12月末時点)チは、中国等のパリクラブに未だ参加していない新興債権国からの借入が多い低所得国の債務問題に対処するため、主要新興債権国もメンバーに含むG20でも、「共通枠組*4」という枠組みとして合意され、拡大した。この「共通枠組」の下では、パリクラブ国とG20メンバーである中国・インド等の新興債権国が一堂に会した債権者委員会を立ち上げ、協調して債務再編を行うことになっているが、中所得国のスリランカは適用対象外である。したがって、スリランカの債務再編を着実に進めるためには、主要債権国である中国・インドを巻き込んだ債権国間の枠組みをゼロからアドホックに創設する必要がある。スリランカの政治・経済状況ここで、債務再編の議論に入る前に、まず、スリランカが何故現在の苦境に陥ったのか、その内政とこれ 20 ファイナンス 2023 Jun.

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る