ファイナンス 2023年6月号 No.691
20/78

シーエムアイエムCMIM:危機時の流動性供給メカニズムアムロディーアールエフDRF:自然災害リスクに対する財務強靭性の向上1従従来来かかららのの33本本柱柱新新ししいい議議題題○金融デジタル化が域内金融協力にもたらす影響○インフラファイナンス、サステナブル・ファイナンス等AMRO:上記CMIMを支える経済サーベイランス機関エービーエムアイABMI:現地通貨建て債券市場の育成ASEAN+3地域金融協力の全体像た国を支援し、危機の連鎖と拡大を防ぐ枠組みとして、2000年に二国間通貨スワップ取極から構成されるチェンマイ・イニシアティブ(CMI)が立ち上げられた。その後、2010年には、これらの通貨スワップ発動の際の当局間の意志決定の手続きを共通化し、支援の迅速化を図るため、CMIのマルチ化契約(CMIM)が締結され、その後も随時、資金規模の倍増といった機能強化が図られてきた。他方で、現行のCMIMは危機対応及び危機予防のための2つのファシリティのみであり、パンデミック下においても緊急支援のニーズがあったにもかかわらずCMIMは活用されなかった。そこで日本より、パンデミックや自然災害等の突発的な外生ショックから生じる緊急対外収支ニーズに対応するため、緊急融資ファシリティの創設を提案しており、本会議でこの議論が歓迎され、今年末までに詳細な制度設計を策定して検討することとなった。また、地域金融セーフティーネットを更に強化するため、その他の新たなファシリティやより強固で信頼性の高い資金構造の検討も進めていくこと、また、そのためのロードマップを今年末までに作成することが合意された。さらに、現地通貨の活用といったCMIMの運用改善についても、これまでの成果と議論の継続が確認された。イ. 【第2の柱】ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)CMIMの実施支援に際しては、ASEAN+3域内・各国経済のリスクを早期に発見し、改善措置の速やかな実施を求めることが必要不可欠である。このプロセスに貢献するためのサーベイランス機関として、2011年にAMROが設立され、その後、国際機関となった。日本はその設立以降、所長を含めた人材の輩出や拠出金の貢献等を通じてAMROを支援してきている。本会議では、昨年策定された、2030年までのAMROの中長期的な発展を見据えた「戦略的方向性2030」について、急激に変化するマクロ経済・金融環境や新たな課題に効果的に対応するための指針であるとして歓迎されたほか、AMRO幹部によるガバナンスについて包括的な見直しを進めることとなった。ウ. 【第3の柱】アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)アジア通貨危機の一因となった、ASEAN諸国にお第1の柱第2の柱第3の柱新たな柱※日本が推進してきたDRFは今回の大臣会合にて新たな柱として全参加国による定例議題に格上げ。 16 ファイナンス 2023 Jun.

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る