ファイナンス 2023年6月号 No.691
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写真 3 理財局計画官補佐(内閣・財務係担当) 老月 梓写真 4 国際局開発政策課 企画係長 吉越 文されていますので、役所だけで政策を考えているわけではありません。ただ審議会もそこだけですべてが完結するわけではなく、必要な情報提供や議論すべき内容の検討など、質の高い政策が議論されるための土台作りは役所の重要な仕事の一つになっています。また、組織内のプロセスも、係で検討し、課長補佐と議論し、課長、局長、次官、大臣と説明しながら詰めていくなど、多角的な視点で検討し、組織として責任を持って意思決定をする形となっています。辻愛沙子さん 今日どうしても話してみたいと思っていたのは、財務省の働き方についてです。霞が関は非常にブラックなイメージがありますが、実際の働き方はどうでしょうか。中村係長 テレワーク環境も整備されており、フレックスも導入されているなど、労働環境は良くなってきていると思います。一方で、外部の方へのご説明など急ぎの依頼が入ると、出勤せざるを得なくなる職員もいます。辻愛沙子さん 実際の肌感覚を知りたいのですが、老月さんは霞が関の働き方の変化を感じることはありますか。老月補佐 自分が入省した十数年前とは自身の意識も含めて大きく変わったと感じます。入省したときとは職責も異なるので単純に比較することは難しいですが、係員のころは終電で帰ることも多く、上司の課長補佐も深夜まで残って働いていました。現在は予算編成的な業務をしており、年末にかけては忙しかったですが、今は余裕があるなどメリハリのある働き方ができています。中村係長 辻さんは会社を経営されていて、お忙しいかと思いますが、どのような働き方をされていますか。辻愛沙子さん 起業する前は会社に勤めていたのですが、働き始めは企画という仕事の楽しさにとにかく夢中になって、上司から「早く帰りなさい」と口酸っぱく言われながらも四六時中パソコンに向き合っていたように思います。起業してからは、社員も増えてきたことで自身の働き方が社内に与える影響を鑑みるようになりました。いつも燃えている感じは変わらないのですが、社員のためにもまず自分から働き方を見直す必要性を感じ、最近はしっかり休みもとるようにしています。また、広告の仕事は文字の通り広く遍く届ける仕事なので、自分のアウトプットが社会とズレることがないよう、働き方ひとつとっても自分の価値観が世間と乖離しすぎることのないよう意識しているのもあります。世間との乖離という意味では、国家予算に向き合う皆さんは扱っている金額が桁違いな一方で、例えば消費税でいうと、スーパーで5円とかを気にする生活者と向き合う解像度が当然求められるわけですよね。その金額のギャップの間で感覚がわからなくなることはないでしょうか。吉越係長 予算編成でいうと、要求側と詰めて議論したり、外部へのヒアリングをしっかり行うなど、感覚がずれないように努力していると思います。財務省の働き方について 12 ファイナンス 2023 Jun.

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