ファイナンス 2023年5月号 No.690
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ファイナンス 2023 May 5自分が納めた税金がどのように使われているのかもっと関心を持ちたいと思ったし、更に社会問題に意識を向けたいと思った。未来人になってみて、未来の日本の事を考えてみたり、未来人の目線から、今の日本へアドバイスを考えたりなど、みんなで話し合ってグループワークできて楽しかった。若者が選挙に行こうと思えるような今回のような講義などの活動がこれから重要になってくるのではないかと思った。対象開催概要開催日令和5年2月20日(月曜日)会場岩手県立不来方高等学校授業のテーマ日本の財政について選挙権の付与を目前に控えた学年が対象であったこともあり、グループワークなどで考えた意見は、選挙を通じて反映することができるという話をさせてもらった。この授業が、日本の財政への興味や、参政意識の向上につながれば幸いだ。2学年7クラス(262名)生徒生徒からのからの声声講師講師からのからの声声講義の様子グループワークの様子未来人になりきった生徒が現在の日本にメッセージを送る東北財務局盛岡財務事務所では、主計局の取組より早く、令和3年度より、「財政教育プログラム」にFDの考え方を取り入れたプログラム「FD×財P」を、矢巾町と協働して実施している。その一環として、令和5年2月20日に岩手県立不来方高等学校の生徒を対象に出前授業を行った。当日は2年生の7クラスの生徒262名が参加、盛岡財務事務所の職員が講師となり、日本の財政について、歳入歳出予算や国債発行残高の推移、日本の税金の種類などについて説明した。その後、矢巾町の職員がFDの考え方の特徴などを説明した後、生徒が未来人になりきり、現在の日本にメッセージを送るワークなどを行った。グループワークでは、グループごとに未来人から受け取ったメッセージを踏まえて現在とるべき政策を検討し、来年度の歳入歳出をどのように増減させるか、既存の予算にとらわれず自由な発想で話し合いをしてもらった。未来人になりきった高校生からは「2050年には教育や医療分野でのデジタル化とAI技術の発展により医者や教師が少なくなり、教育費と社保費が減少した。今(2020年代)は、その技術開発のために科技振興費を増額する必要がある」などの意見が出た。また、「AIで人口減少による労働力不足をカバーしているポジティブな未来像」を描く班が多かった中で、「AIとその開発者に仕事が集中し、職を得られない人が出てくるので、テクノロジーが得た収益を上手に再分配する制度が必要」といった意見も出た。その上でグループワークとして2023年度の予算編成を行った。「未来像ではAIのおかげで社会保障・教育費が減少しているが、2023年度時点ではその効果はまだ出ていない。しかし、AI開発のために科学技術費は今増額する必要があるため、来年度予算では財政赤字は拡大し、財政健全化から一時的に遠のく」という結論を出したグループも見られた。高校生達は財政健全化の重要性を理解しつつも、科学技術費を増やす必要性があると考え、何を優先すべきかに悩む場面もあった。岩手県立不来方高等学校の生徒262名が参加岩手県立不来方高等学校の生徒262名が参加盛岡財務事務所で「FD×財P」を開催盛岡財務事務所で「FD×財P」を開催

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