ファイナンス 2023年5月号 No.690
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久米島の畳石慶良間諸島 阿嘉島 北浜ビーチ紅型の琉装伝統工芸日本の渚百選に選ばれた「イーフビーチ」、真っ白な砂の島「ハテの浜」、亀の甲羅のような岩石群の国指定天然記念物「畳石」などの景観地や13箇所の城(グスク)などがあり、自然、歴史に溢れています。面積が沖縄県最小(約4km2)の渡名喜村には、沖縄の伝統的な赤瓦の家屋が多数残っており、島の集落全体が「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島、慶留間島の有人島と多数の無人島から成る慶良間諸島は、世界でも屈指のダイビングスポットであり、冬場のホエールウォッチングでも人気の高い地域です。平成26年には、全国で31番目の国立公園に指定されました。平成16年に重要無形文化財に指定された久米島紬は、15世紀後半に始まったとされ、江戸時代には「琉球紬」という名で、もてはやされました。紬絣技法は、久米島から日本全国に伝播されていき、久米島は紬発祥の里といわれています。明治36年の地租条例・国税徴収法の施行まで、租税の代わりとしての「貢納布」でもありました。伝統を踏襲し、一貫して手作業を一人の織子(島の母ちゃん達)が織り上げる紬は、母ちゃん達の想いが込められ、豊かな風合いとしなやかな着心地の逸品です。〔紅型〕沖縄では「びんがた」と平仮名表記が多く、琉球王国時代、王族や士族の衣装として摺込みの手法で染められていました。その起源は13世紀頃ともいわれ、沖縄で生まれ育った唯一の染め物です。琉球王府の保護の下で、東洋花布としての中国の市場では貴重な交易品でした。芸術性が高く華麗な紅型は、成人式の晴れ着とされるなど、現代の若者にも重宝されています。〔うらそえ織〕平成18年に始まった「うらそえ織」は、桑の栽培から養蚕、糸引き、染色、商品化まですべてを浦添市内で行っており、織り方や柄に伝統的な縛りがない分、絹の風合いに加え、自由な作風が魅力的です。沖縄が誇る銘酒、泡盛島酒(しまざけ)として愛されている泡盛は、琉球王朝時代、国の行事や交易品として使われる御用酒として、王府の厳しい管理の下、「首里三箇」と呼ばれた首里城近くの3つの地区(現在の那覇市首里崎山町、赤田町、鳥堀町)の焼酎職のみに製造が認められていました。 66 ファイナンス 2023 May〔久米島〕〔渡名喜島〕〔慶良間諸島〕〔久米島紬〕

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