ファイナンス 2023年5月号 No.690
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ファイナンス 2023 May 55財務総合政策研究所 総務研究部 国際交流課 企画調整係長 金城 貴裕同 前研究員 田中 祥司研究員 大川 隼人同 係員 岩嵜 智亮*1) 本稿の執筆にあたっては、外務省欧州局 中央アジア・コーカサス室の三瓶 麗子氏及びウズベキスタンBFAのMs. Dinara Djumaeva氏からは貴重なご意見を頂いたことへの感謝をここに記します。なお、本稿の内容は全て執筆者の個人的見解であり、財務省あるいは財務総合政策研究所の公式見解を示すものではありません。*2) JICAのODA見える化サイト(https://www.jica.go.jp/oda/allsearch/index.html)での定義より。*3) ODAは、贈与と政府貸付等に分けることができるほか、開発途上地域を直接支援する二国間援助や国際機関等に対して拠出する多国間援助もあります。財務総研国際交流課で行っている技術協力は二国間援助の贈与にあたるものです。ODAについては外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/)等をご参照ください。*4) BFAの名誉職(無報酬)であり、財務総研の推薦に基づきBFAにより任命されます。原則として現地には駐在しません。財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、1997年以降、ウズベキスタン共和国(以下、「ウズベキスタン」)の発展を担う人材の育成を目的とした知的支援を実施しています。今回のPRI Open Campusでは、これまでの財務総研の同国向け支援の歴史や、約3年8ヶ月振りとなった財務総研訪問団によるウズベキスタン出張を含めた最近の支援実績等についてご紹介します。*1開発途上国の社会・経済の開発を支援するため、日本政府や国際機関、NGO、民間企業など様々な組織や団体が、経済協力を行っており、これらの経済協力のうち、政府が開発途上国に行う資金や技術の協力を政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)といいます*2。ODAには様々な種類があり、その中には、日本の知識・技術・経験を活かし、途上国・地域の社会・経済の開発の担い手となる人材の育成を行う「技術協力」があります*3。財務総研の国際交流課が実施する知的支援は、まさにこの「技術協力」に当たります。国際交流課では、その前身である国際交流室発足(1992年)以降、現地大使館や現地のJICA専門家等を経由して寄せられる開発途上国の政府等の関係者からの要請に応える形で、それらの国々の人材育成を目的とし、財政・経済分野に係る我が国の知識や経験、ノウハウを提供してきました。また、こうした活動を通じて得られる開発途上国との人的ネットワークを維持・強化していくことは、我が国が財政経済分野における様々な国際協力を円滑に推進していくことにも資するものと考えています。財務総研は、ウズベキスタン政府からの要請を受け、同国の人材育成に対する知的支援活動の一環として、1996年に設立された金融財政アカデミー(Banking and Finance Academy:BFA)に対し、その設立当初から、BFA(名誉)第一副院長(非常勤)*4の派遣を続けているほか、これまで218名のBFA学生を日本でのセミナーに受け入れるなど、約26年におよぶ様々な支援を行っています。BFAは、同国の財政金融分野の政策立案・運営能力を国際的水準に引き上げることを目的として、1996年5月の大統領令に基づき同年10月に設立された大学院相当の教育機関で、ウズベキスタン政府や金融機関等より選抜された幹部候補生が専門家育成プログラムを受講し学んでいます。財務総研では、BFAの設立以来8名の(名誉)第一副院長を派遣しており、現在は、財務総研の小野副所長がその任に就き(2022年12月~)、財務総研とBFAの支援・協力関係に関19(1) はじめに−財務総研国際交流課の取組の意義−(2) 財務総研によるウズベキスタンへの支援の歴史等ウズベキスタン共和国への 知的支援*1

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