ファイナンス 2023年5月号 No.690
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12345 男性女性性年代別86420コラム 経済トレンド 107(出所)「Gaming’sLive-StreamingAudienceWillHitOneBillionNextYear&1.4Billionby2025」、株式会社マイボイスコム「eスポーツに関するアンケート調査(第3回)」、EsportsEarnings、ロイヤリティマーケティング「10代から60代に聞いたeスポーツに関する調査(2022年9月)」(出所)株式会社XENOZ「eスポーツのスポンサー効果に関する実態調査」、Nielsen「THEESPORTSPLAYBOOK:ASIA」、Nielsen「ファンがゲームチェンジャーになる」、日本eスポーツ連合HP、日清食品ホールディングスHP、KDDIHP、角川アスキー総合研究所「日本eスポーツ白書2022」、NewZoo「GlobalMarketReport2021」・経済効果と社会的意義を合わせ持つeスポーツだが、日本での今後の成長には「ファンの拡大」「ゲームタイトルの国内開発」「サポーター企業の更なる参入」という3つの課題を乗り越える必要がある。・1点目の「ファンの拡大」のためにはeスポーツの認知度の向上が必須であるが、eスポーツを知っている人の割合は、2023年2月時点で36.0%に留まり、認知度は高いとは言えない状況にある(図表7)。さらに、今後のeスポーツへの接触意向がある人の割合は全体で21%で、男性10~30代の割合は高いものの(図表8)、観戦者・ファンの幅広い世代の増加には壁がある。企業による魅力ある大会の開催や、インフルエンサーによるeスポーツゲームのプレイ配信等により、eスポーツへの接触機会をこれまで以上に提供し、若年層のファンの拡大を図ることが重要である。また、子どもとのゲームプレイを通じ、40~50代の親世代がeスポーツに接触するといった効果も期待できる。・2点目の「ゲームタイトルの国内開発」について、日本では家庭用ゲームで世界を席巻してきたが、eスポーツ競技でプレイされるゲームタイトルの開発が遅れている。現在eスポーツ競技で主流であるゲームタイトルは、賞金の累計額で見ても、米国や中国のものが上位を占めている(図表9)。eスポーツ市場の世界的拡大が見込まれる中、日本企業には、国内外で広くプレイされるeスポーツ専用ゲームタイトルの開発が求められる。・3点目の「サポーターの更なる参入」について、イベント開催やスポンサー協賛など、eスポーツの成長には企業による支えが重要(図表10)であるが、日本ではファン層が薄いことから、企業の参画も限定的であった。・しかし、世界的なeスポーツ市場の拡大と認知度上昇を通じて企業にとっても魅力ある市場になりつつある(図表11)。例えば、eスポーツ選手やチームを通じてスポンサー企業の名前を知ったことがある人は9割以上、スポンサー企業の商品・サービスを購入したことがある人は6割以上で(図表12)、企業側には、特にeスポーツの選手や観戦者の多い若年層への宣伝・広告効果を得られるメリットがある。さらに、近年世界のスポンサー契約件数は増加傾向にあり(図表13)、日本においても多様な業種からの参入がみられる(図表14)。今後、さらに参入数を増やすためには、これらのメリットを幅広い企業に認知してもらう必要がある。・eスポーツに参入する企業がファン増加のための取り組みを実施し、ファンの増加によって市場がさらに拡大することで参入する企業が増えるといった、ファンと企業の好循環によるeスポーツ市場の成長が、今後の日本において実現していくことを期待したい。<あなたは、eスポーツをご存じですか>知らない名前を聞いたことはあるが、どのようなものか知らないどのようなものか知っている100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%21.357.544.025.334.517.2第1回第2回(億人)4.7201920202021(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。(2021/2)(2018/7)チケットストリーミングアイテム課金放映権(2023/2)著作権許諾グッズスポンサー企業の名前を知ったことがありますか>スポンサー<応援しているeスポーツチームや選手のスポンサー企業の商品・サービスを購入したことはありますか?>18.845.236.0第3回5.82024全体10代20代30代40代50代60代10代20代30代40代50代60代0今後(も)eスポーツに参加したい今後(も)eスポーツを視聴・観戦したい当てはまるものはない<選手やチームの応援を通じて、5.5%94.5%はいいいえ37.9%62.1%はいいいえ21%20406080100(%)(件)3,0002,5002,0001,5001,000500069646320162017n=195順位タイトルDota2FortniteCounter-Strike:GlobalOffensiveLeagueofLegendsArenaofValorホールディングス株式会社(食品)株式会社ローソン(小売)KDDI株式会社(通信)賞金総額(米ドル)開発元所在地3億1355万ValveCorporation米国1億5394万EpicGames米国1億4753万ValveCorporation米国9907万RiotGames米国7037万Tencent中国スポンサー内容EVOJapan2018(賞金額500万円)への特別協賛JeSU(日本eスポーツ連合)への協賛プロeスポーツチーム「DetonatioNFocusMe」への協賛1,8611,7852,2547762018201920202021ファイナンス 2023 May 45eスポーツ発展の課題(1)eスポーツ発展の課題(2)(図表7)eスポーツに関するアンケート調査(図表10)日本のeスポーツ市場の内訳(図表11)世界のeスポーツファン(図表8)今後のeスポーツへの接触意向(図表12)eスポーツのスポンサー企業への効果(図表9)賞金総額ランキング(累計)(図表13)スポンサー契約件数(図表14)スポンサー企業の例企業名日清食品

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