==預金保険機構*19) https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/pfsys/e17.htm(出所)金融庁資料より抜粋12経営権・財産管理処分権流動性供給一般の業務(預金・保険契約等)預金者・保険契約者等銀行・保険・証券カウンター・パーティシステム上重要な取引危機に瀕した金融機関金金融融機機関関のの秩秩序序ああるる処処理理((11))((債債務務超超過過等等のの場場合合))受皿金融機関・ブリッジ金融機関切分け預金者・保険契約者等銀行・保険・証券カウンター・パーティ事業譲渡等システム上重要な取引一般の業務(預金・保険契約等)履行(資産・事業の処分)倒産処理手続等による清算等預金保険制度保険契約者保護機構等資金援助図表10 特定第二号措置のスキーム図(預金保険法改正時説明資料)(1)システミック・リスクが顕現化する惧おそれがあること(2)日本銀行の資金供与が必要不可欠であること(3)モラルハザード防止の観点から、関係者の責任の明確化が図られるなど適切な対応が講じられること(4)日本銀行自身の財務の健全性維持に配慮することは特融の使用局面を限定的にしています。具体的には、日銀特融の発動は政府からの要請がある場合に限り、以下の「特融等に関する4原則」に基づき判断を行うとしています*19。なお、ここでは紙面の関係上、日銀による最後の貸し手機能について最低限の説明にとどめていますが、日銀特融や最後の貸し手機能について知りたい読者は、木下(2018)や中曽(2022)を参照してください。本稿では特定第二号措置を説明する場合、G-SIBs(3メガバンク)/野村ホールディングス(4SIBs)を主眼とした説明を行いました。もっとも、特定第二号措置の説明に関する既存の文献では図表10を用いる傾向があります。この図は2013年の預金保険法改正時に用いられた公式の説明資料であり、特定第二号措置を用いたスキームの一例を示したものです。しかし、我が国のG-SIBsはすべてホールディングスの形態をとっていることに加え、この図表10にあるように、G-SIBsの有するシステム上重要な取引のみを切り離してブリッジ金融機関に移行させることが困難であること等に鑑み、図表10のスキームを用いることは現実的ではないとも言えます。したがって、本稿では特定第二号措置を説明する際、図表10を用いず、図表6のスキームを用いた説明をしました(現在、図表10のような処理は現実的ではないとみる実務家も多く、この図を用いて特定第二号措置を説明することは減ってきている印象です)。本稿では秩序ある処理において、預金取扱機関以外の金融機関に対してもその対象を拡大したことを指摘しました。我が国では家計金融資産において預金の次に保険の保有割合が高いなど、保険会社のプレゼンスが高いといえますが、保険会社に秩序ある処理を適用するかには議論があります。歴史的には、松澤(2014)が指摘しているとおり、保険業法上の破綻手続処理と更生特例法に基づく更生手続による処理の二つがとられています(最近では更生手続きによる処理が一般的とされています)。2013年の預金保険法改正により、秩序ある処理が保険会社に対して適用可能になりましたが、秩序ある処理が必要となる保険会社がそもそも本邦に存在するのか、という議論があります。例えば、松澤(2014)では「保険会社が引き受けるリスクは相互に連動しないため保険事業はシステム上重要 32 ファイナンス 2023 May4.2 特定第二号措置のスキーム図(預金保険法改正時説明資料)4.3 保険会社に対する秩序ある処理
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