[7]. 細谷英二(2013)「日経ビジネス経営教室 どんな会社も生ま図表10 早期健全化法による資本増強措置の枠組み我が国における公的資金注入および一時国有化スキーム (出所)会計検査院資料*44参考文献[1]. 池尾和人(2009)「不良債権と金融危機」慶應義塾大学出版会[2]. 五味廣文(2012)「金融動乱:金融庁長官の独白」日経BPマーケティング[3]. 竹中平蔵(2006)「構造改革の真実竹中平蔵大臣日誌」日経BPマーケティングファイナンス 2023 Apr. 59日本銀行金融機関等債務保証借入れ・債券発行政 府貸付け利益納付・損失補てん優先株式、劣後債、劣後ローンの引受け等預金保険機構(金融機能早期健全化勘定)株式会社整理回収機構金 融 機 関金融再生委員会「経営健全性計画」の提出*43) 柳澤(2021)では「所期の効果を上げ得なかったにもかかわらず、大蔵省−預金保険機構−金融危機管理審査委員会のラインの維持」(p.135)に批判的な声があったことから、「総理府に所属する金融再生委員会が主導する形になった」(p.136)と指摘しています。*44) https://report.jbaudit.go.jp/org/h15/2003-h15-0752-0.htm直下の金融再生委員会に提出します。中曽(2022)では、金融再生委員会は「金融機関の破綻処理から公的資本注入までの危機管理を一元的に行う行政機関」(p.112)であり、「金融監督庁の上位機関として金融機関の監督ならびに検査を行う権能が与えられていた」(p.112)と整理しています*43。早期健全化法では、金融再生委員会で承認された銀行に対して、預金保険機構は政府保証で資金を借り入れることで、整理回収機構を経由し、金融機関に対して優先株式や劣後ローンなどの形で資金注入します。図表5の(3)と(4)では、大和銀行、あさひ銀行、近畿大阪銀行にそれぞれどのような条件で資金注入されたかが記載されています。なお、旧安定化法および早期健全化法前後の経緯は現在の破綻処理制度を考えるうえで非常に重要ですが、中曽(2022)および柳澤(2021)など確立した文献があります。本稿では紙面の関係でこの経緯を省略するため、その詳細を知りたい読者は同書をご参照ください。[4]. 服部孝洋(2022)「バーゼル規制入門―自己資本比率規制を中心に―」『ファイナンス』、28−39.[5]. 服部孝洋(2023a)「システム上重要な銀行入門−「大きすぎて潰せない(TBTF)」問題について−」『ファイナンス』、40−51.[6]. 服部孝洋(2023b)「金融機関の破綻処理及び預金保険入門」『ファイナンス』、50−60.れ変わる」日経BP[8]. 中曽宏(2022)「最後の防衛線 危機と日本銀行」日経BP[9]. 中野瑞彦(2016)「金融機関への公的資金投入と 金融システムの安定化問題」『桃山学院大学経済経営論集』第57巻第3号[10]. 柳澤伯夫(2021)「平成金融危機 初代金融再生委員長の回顧」日本経済新聞出版[11]. 預金保険機構(2007)「平成金融危機への対応 預金保険はいかに機能したか」金融財政事情[12]. りそなHD・りそな銀行(2003)「経営の健全化のための計画〜りそな再生のための集中再生期間における計画〜(預金保険法第105条及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律第5条)」[13]. ジョン・アーマー、ダン・オーレイ、ポール・デイヴィス、ルカ・エンリケス、ジェフリー・ゴードン、コリン・メイヤー、ジェニファー・ペイン(2020)「金融規制の原則」きんざい4.おわりに本稿では預金保険法102条スキームの全体像に加え、公的資金注入の事例としてりそな銀行の事例を取り上げました。本稿で取り上げられなかった論点は今後の論文で取り上げます。また、リーマン・ブラザーズの破綻など、2008年の世界金融危機を受け、TBTF問題を解決するべく、巨大な金融機関の秩序ある破綻が議論なされました。それを受けて、我が国では破綻処理制度が改正され、預金保険法126条の二が追加されました。同スキームについては次回の論文で取り上げることを予定しています。*43*44
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