図表6 危機対応勘定の貸借対照表および損益計算書(平成17年度)図表7 りそなHDによる公的資金返済の流れ*30) 細谷(2013)では「私は何としてもバランスシート改革を断行すると決めていましたので、竹中氏とも相談し、2003年9月中間期決算で1兆7700*31) 日本経済新聞(2015/6/26)「りそなHDの東社長『歴史忘れず挑む』、公的資金完済を発表」(出所)預金保険機構(2007)貸借対照表(17年度)資産りそなHD株式合計損益計算書(17年度)費用支払利息等当期利益金合計億円の過去最大の赤字を計上しました」(p.44)としています。負債・資本2.0債券借入利益剰余金合計2.0収益16取得株式等86配当金102合計単位:兆円1.60.30.012.0単位:億円97102(出所)りそなHD 56 ファイナンス 2023 Apr.3.4 預金保険機構の資金調達に対する政府保証3.5 りそなHDによる公的資金返済の流れり上げる足利HDは一時国有化された後、再民営化する中で設立されている点に違いがあるとみることもできます)。前述のとおり、預金保険機構は、約2兆円のりそな銀行の株式を引き受ける(購入する)という形で公的資金を注入していますが、預金保険機構はその資金調達にあたり、銀行からの借り入れや債券(預金保険機構債)の発行をしています。重要な点は、この資金調達にあたり、政府保証がなされている点です。仮にりそな銀行が破綻し、預金保険機構から調達した資金が返済できないことになれば、まずは業界に事後徴収を求めます。しかし、その負担が過大だということになれば、その保証をしている政府に損失が計上される可能性があります。このように預金保険機構は政府保証により資金調達をし、りそなHDの株式を保有するという財務構造を有しますが、この関係をバランスシート(BS)で確認します。図表6が平成17年度における危機対応勘定のBSを示していますが、資産側にりそなHDの株式が2兆円計上される一方、負債側については(政府保証が付された)債券と借入がそれぞれ1.6兆円と0.3兆円計上されていることが分かります。図表6の下段に危機対応勘定の損益計算書が記載されていますが、りそなHDの株式から配当金を得る一方、借入と債券の金利負担から費用が計上されており、その差が当期利益金になります。りそな銀行は公的資金の注入を受けた後、前述のとおり、その返済が求められました。その元手は、経営改善をする中で計上した利益に加え、公募増資により得た資金をベースとしており、前述の普通株式や優先株式を買い取るなどして返済しました。りそな銀行は、経営陣を刷新した後、2003年9月中間決算で約1.8兆円の赤字を計上*30し、不良債権を大幅に処理しましたが(与信関連費用として、10,647億円を計上)、細谷(2013)は、これにより不良債権比率は11%から2003年度末に6%台になり、国内景気の回復とともに収益力が高まっていったとしています。図表7が公的資金残高の推移になりますが、段階的に返済がなされていき、2015年6月に完済されています*31(りそなHDは、公的注入後15年での返済計画であったところ、12年間で前倒し返済しています)。りそなHDの公的資金返済にあたっては株式の発行(増資)も看過できません。りそな銀行は、2010年に、「りそな資本再構築プラン」を発表し、増資と剰余金により公的資金の返済を大幅に行うとともに、残る公的資金についても5年後をめどに完済を目指すとしました。また、同プランでは、公的資金で増えていた優先株式を返済し、普通株式中心の資本構成にするÿ
!"±²³´ÀÁ¸¹ÂÃÄÐHÑÒÓFGHIJÔÕÒÓCDEÐHGÖרFiJÙÚÔÕÒÓCDEFGHIJÛÜÝÒÓVWXYJkluÞmS;<=>?@ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ[H\]^_`=a;b
元のページ ../index.html#60