受 (合併・事業譲渡・株式譲渡)破綻処理金融危機対応会議 皿(2023b)を参照してください。図表2 預金保険法102条における金融危機対応措置のイメージ我が国における公的資金注入および一時国有化スキームファイナンス 2023 Apr. 51議長:内閣総理大臣議員:内閣官房長官 金融担当大臣 金融庁長官 財務大臣 日本銀行総裁 (内閣府設置法 42条)システミック・リスクのおそれ国又は地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれ金融危機対応会議のメンバー(出所)金融庁*6過小資本(資産超過)債務超過第1号措置資本増強第2号措置特別資金援助第3号措置特別危機管理【特別危機管理銀行】りそな銀行(平成 15年5月 17日 必要性の認定)第2号措置によってはシステミック・リスクを回避できない場合足利銀行(平成 15年11月29日 必要性の認定)金融整理管財人による管理を命ずる処分預金等全額保護一時国有化受皿への移行時に金銭贈与*6) https://www.jftc.go.jp/soshiki/kyotsukoukai/kenkyukai/kyousouseisaku/dainikai_■les/fsa.pdf*7) 服部(2023b)で説明しているとおり、ペイオフには二つの定義があり、ここでは広義の定義を用いている点に注意してください。詳細は服部*8) 五味(2012)では、「債務超過だと第一号措置は使えず、第二号あるいは第三号措置を適用することになる。どちらも預金を全額保護したうえで、二号は金融整理管財人を派遣して通常の破綻処理、三号は銀行を一時国有化して経営を継続するものだ」(p.118)としています。*9) 同書p.122を参照。*10) 過小資本で、かつ、システミック・リスクがない場合、金融機能強化法による資本参加という措置があります。さらに、第三号措置の場合、実質国有化というツールを用いることができます。直感的には、十分な資金援助により預金の保護をする第二号措置に対し(通常の破綻処理は日本振興銀行のようにペイオフ*7を発動する点に注意)、第三号措置は、国または地域の信用秩序に配慮するため、一時国有化しつつ経営を継続するという手段になります*8。とはいえ、これだけだと抽象的ですので、後ほど、りそな銀行の事例を取り上げながらその仕組みについて説明します(足利銀行については紙面の関係上、次回の論文で取り上げます)。*6*7*8図表2にあるとおり、第一号措置から第三号措置のどれが使われるかは、当該銀行の資本がどれくらいであるかに依存します。具体的には、債務超過でない場合(過小資本の場合)、第一号措置がとられる一方、債務超過と判断されれば、第二号措置あるいは第三号措置が適用されます。五味(2015)では、どれを適用するかについて政策的な判断が入り込む余地はなく、債務超過であるかどうかに完全に依存している、としています*9。2.3 システミック・リスクの認定について図表2をご覧いただきたいのですが、公的資金注入を含む「金融危機対応措置」が発動されるのは、システミック・リスクのおそれがある場合に限られる点です。システミック・リスクを認定する際に必要な条件は、「措置が講ぜられなければ、国または地域の信用秩序維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき」とされています。見方を変えれば、金融機関が債務超過あるいは債務超過に近い場合、システミック・リスクがなければ、救済措置は取られることはなく破綻処理がなされます。その意味で公的資金注入を含む「金融危機対応措置」が発動されるかどうかの判定が大切になりますが、現在の仕組みは、金融危機対応会議でその意思決定がなされます。具体的には、内閣総理大臣が同会議の議長を務め、官房長官や金融担当大臣、財務大臣、日銀総裁、金融庁長官などが参加することで、システミック・リスクがあるかどうかの認定を行います。そのうえで、仮に、ある預金取扱機関が破綻し、国または地域の信用秩序などへのシステミック・リスクの恐れがあると認定された場合、預金保険法102条スキームが発動されます。その一方、もしシステミック・リスクの可能性がないと判断されれば、すでに説明した(1)「預金等定額保護」のプロセスにすすみます*10。服部(2023b)では、日本振興銀行についてシステミック・リスクの認定がなされず、ペイオフが発動された事例を詳細に取り上げました。仮にシステミック・リスクの認定がなされたとしましょう。図表2の上にあるように、過小資本(資産超
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