ファイナンス 2023年4月号 No.689
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・外為特会からの繰入金(令和5年度剰余金):1.2兆円程度・財投特会からの繰入金(財融勘定):0.2兆円程度・国立病院機構・地域医療機能推進機構の国庫返納・外為特会からの繰入金(令和4年度剰余金):1.9兆円程度・財投特会からの繰入金(投資勘定):0.4兆円程度・新型コロナウイルス感染症基金の国庫返納:0.2兆円程度:0.1兆円程度・緊急小口資金等の特例貸付の国庫返納・大手町プレイス売却収入:0.4兆円程度1.5兆円程度3.1兆円程度財源確保法による税外収入上記以外の税外収入:0.1兆円程度防衛力強化税外収入4.6兆円程度0.2兆円程度1.2兆円程度(対令和4年度当初比)3.4兆円程度1.4兆円程度3.4兆円程度防衛力整備計画対象経費の増加額防衛力強化資金への繰入図表6:令和5年度予算における防衛力強化のための対応に係る税外収入(全体像)図表6:令和5年度予算における防衛力強化のための対応に係る税外収入(全体像)建設公債に加えて特例公債も発行された。これ以降、一部の期間を除けば、現在に至るまで、防衛関係費を含めた歳出全体に対して不足する歳入を公債発行収入によって賄う状況が継続している。また、国際的な基準を見ても、例えば、国民経済計算(SNA)における軍事関連費用の取扱いについて、防衛施設整備や装備品取得の一部についても総固定資本形成と整理されるよう変化してきている。こうした中、新たな安保戦略等において、防衛力の抜本的な強化を補完する取組として、防衛省と海上保安庁との連携や公共インフラ整備等が位置付けられた。そこで、令和5年度予算では、海上保安庁の船舶や空港・港湾等の公共インフラ整備が建設公債の発行対象であることを踏まえ、安全保障に係る経費全体で整合的な考え方をとる観点から、防衛省・自衛隊の施設整備に係る経費2,454億円、艦船建造に係る経費1,888億円、合計4,343億円について建設公債の発行対象として整理することとしている。上述のとおり、防衛関係費の増額に必要となる財源は、国債発行に拠らずに確保することとしているため、予算全体の中で発行され得る赤字国債の一部を、防衛省・自衛隊の施設整備などに相当する分、建設公令和5年度予算特集:3新たな国家安全保障戦略等の策定と令和5年度防衛関係予算について 38 ファイナンス 2023 Apr.債に振り替えることになる。安全保障の観点から見た経済・金融・財政の在り方や財源確保の必要性についても言及されており、令和9年度に向けて、そして、令和10年度以降も見据えて必要な財源をしっかりと確保し、有事に備えた財政余力を維持・強化することが重要である。また、上述のとおり、整備計画においては、各年度の予算編成において、各事業の進捗状況、実効性、実現可能性を精査し、必要に応じてその見直しを柔軟に行うこととされている。財政当局として、予算編成等を通じ、引き続き各事業の内容を精査しつつ、実効的な防衛体制の確立に貢献していくこととしたい。4.今後の課題昨年12月に策定された「三文書」は反撃能力の保有の明記や、防衛関係費の大幅な増加など、歴史的な転換と言われる戦略・計画となった。歳出改革

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