ファイナンス 2023年4月号 No.689
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資料1 日本の供給カロリーの国別構成主計局主計官 河口 健児ロシアによるウクライナ侵略等を背景とした国際的な食品原材料価格や生産資材価格の上昇、供給の不安定化が続き、食料の安定供給に対する関心が高まり、食料・農業・農村基本法の改正に向けた農林水産省の食料・農業・農村政策審議会での議論をはじめ、「食料安全保障」について様々な場で議論が行われている中、財政制度等審議会による「令和5年度予算の編成等に関する建議」(令和4年11月29日)の「農林水産」において、以下の点が指摘された。ア 食料安全保障について食料の安定供給を確保することは極めて重要である一方で、今後の安全保障の議論が、輸入に依存している品目等の国産化による自給率の向上や、備蓄強化に主眼が置かれることには疑問。輸入農産物を全て国内で自給するためには現在の農地面積の2倍の面積が追加で必要となるとの試算もあるように、現在の食生活の水準を国内生産で全て賄うことは現実的とは言えない*1。*1) 食料自給率は、輸入飼料部分を自給としていない一方で、大宗を輸入に依存している肥料原料・エネルギー資源について輸入に支障がない前提となっており、また結果的に食品ロスとなる分も含めたもの。(出所)農林水産省「食料の安定供給に関するリスク検証(2022)」1. 5年度農林水産関係予算の基本的考え方 18 ファイナンス 2023 Apr.(1) 「令和5年度予算の編成等に関する建議」の「農林水産」のポイント輸入国別の構成を見ると、現在は友好国や民主主義国、市場主義国からの調達がほとんどであり、安定的な調達が行われている。今後も不測時の調達途絶リスクを回避できるよう、友好国等との国際的なネットワークを不断に構築・強化し、輸入と備蓄と国内生産の適切なバランスを図り、国内生産を増大させる場合には、国際分業・国際貿易のメリットや経済合理性を無視してまで行う必要があるのかを十分考慮すべき。米政策を中心に、非効率な従来の施策を見直しつつ、スクラップ・アンド・ビルドで、財源とセットで検討する必要。日本の供給カロリーの国別構成令和5年度 農林水産関係予算について

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