ファイナンス 2023年3月号 No.688
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ファイナンス 2023 Mar. 95河川空間のオープン化制度概要 柏原市政策推進部 総合政策監小林 一裕全国でも有数のぶどうの産地として知られているとともに、古くから染色産業が栄え、注染と呼ばれる技法で染められた浴衣や手拭いは、令和元年に「浪なにわ華本染め」として国の伝統工芸にも指定され、人気を博しています。歴史も深く、1615年大坂夏の陣では、豊臣方が徳川方の大軍を迎え撃つ陣が引かれ、豊臣方の後藤又兵衛が10倍近い徳川方を相手に奮戦したという歴史も残っています。また、徳川軍の奈良方面からの進軍経路であった「亀の瀬」は、古くから地滑りを繰り返し、現在も国土交通省直轄の対策工事が行われ、これまでに約1,000億円の巨額の予算がついやされています。令和2年6月には、この地を含む龍田古道が『日本遺産』として認定を受けたことから、現在国土交通省や奈良県三郷町とともに、歴史探訪やインフラツーリズムの側面から積極的に観光施策を進めているところです。私たちのまちの中心には『大和川』が流れています。市役所前に広がる河川敷公園は、市民にとっての憩いの場所ですが、この貴重な地域資源である河川敷1.柏原市の概要柏原市は、大阪平野の南東部、大阪府と奈良県との府県境に位置し、大阪の中心部からわずか20kmほどの距離にありながら、市域の3分の2を山が占め、中央部を大和川が流れるなど、「利便性」と「自然環境」に恵まれたまちです。2. 街の中心を流れる大和川での 取組み公園を、亀の瀬とともに地域活性化の核となる場所にしたいという思いから、私たちは現在、都市・地域再生等利用区域の認可、いわゆる「河川空間のオープン化」に向けた取組みを進めています。河川空間のオープン化は、河川法準則の変更により実施可能になった制度で、大阪府の事例では道頓堀川の取組みが有名です。シンプルに言うと、河川区域で民間事業者等が収益事業を実施することができるようにする取組みですが、まずは民間事業者と対話を重ね、キャンプやカヌーなど、アウトドア体験を盛り込んだイベント等を、河川敷公園で社会実験として実施しています。これまでに、3.これまで実施してきた社会実験社会実験の実施にあたっては、幅広い河川敷活用の可能性や周辺環境との調和などを検討するため設置された「柏原市大和川河川空間利用調整協議会」で許可を得るとともに、実験終了後は、成果や課題などを協議会で共有し、対応策等を検討しています。「河川空間のオープン化」で地域を元気に柏原市

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