ファイナンス 2023年3月号 No.688
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963000ⅣⅣ 財サービスファイナンス 2023 Mar. 71(図表8)訪日外国人旅行消費額の費目別構成比飲食費娯楽等サービス費その他(図表12)業種別現金給与総額 (2022年度は11月までの平均値)(2019年度=100)(全規模)(図表13)全国消費者物価指数(図表9)業種別雇用判断DI(図表10)業種別所定外 労働時間コラム 経済トレンド 105(出所)総務省「日本標準産業分類」「労働力調査」「消費者物価指数」「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」(2021年2月調査)、日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」、観光庁「旅行・観光消費動向調査」「訪日外国人消費動向調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」「毎月勤労統計調査」、財務省「法人企業統計」、帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2022年10月)、日本総合研究所「コロナ禍後を見据えた観光業の雇用改革に向けた課題」(万人)3002502001501005015915915915920192020202120220(%)2040全体(n=20,321)17.8宿泊業・飲食サービス業(n=828)17.8生活関連サービス業・娯楽業(n=636)15.32019年度以前から実施している2020年度から実施している実施していない、今後実施を検討実施していない、今後も予定なし(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。・2022年10月に、1日当たりの入国者数上限の撤廃や外国人観光客の個人旅行の解禁など、水際対策が大幅に緩和されたことで、訪日外国人旅行者は増加しており、今後インバウンド需要の回復が見込まれる(図表7)。リオープンによる国内旅行者数の増加においても人手が不足している中、加えて訪日外国人旅行者が増えることにより、人手不足の状況が深刻化することは避けられない。・訪日外国人旅行者の消費額のうち、50%以上が宿泊費と飲食費であることからも、対人接触型サービス業における需要は今後も高まることが予想され、今後の本格的な需要回復に対応するため、人手不足の解決が必要である(図表8)。・雇用判断DIを見ても人手不足感が強まっており、所定外労働時間も増加している(図表9、10)ことから、現在の雇用者の所定外労働時間を増やすことで、人手不足を補っていると考えられる。配膳ロボットや、タブレット端末による注文システム、自動チェックイン機、といったDX化による省力化・省人化を進めているものの、人手不足を十分に補完するまでには至っていない。(図表7)訪日外国人旅行者・人手不足の解消に向けては、労働生産性の向上が不可欠である。DXへの取組み状況について、対人接触型サービス業は80%以上が取組みを実施していない(「今後実施を検討」と「今後も予定なし」の合計)と回答している(図表11)。対人接触型というサービスの性質上、DX化が困難な業務はあるものの、省人化による生産性向上の余地はまだあると考えられる。・リオープンに向けて需要が増えていることから、対人接触型サービス業の現金給与総額も上昇傾向にある(図表12)。一方で、消費者物価指数を見ると、サービスは財と比べて上昇しておらず、価格への転嫁が進んでいないことが分かる(図表13)。魅力的なサービスを提供し、そのサービスに適切な価格設定を行うことができれば、企業が得られる付加価値額も増加し、それらは賃金の原資となり得る。賃金が上昇していくことは、他業種からの転職を促し、中長期的な労働力を確保することに繋がる。・より優秀な人材を確保することで、サービス品質が向上し、適切な価格設定によって更に付加価値額が増加していく。賃金の上昇は人手不足を解消するだけでなく、接触型サービス業の発展にも繋がり、好循環を生み出すと考える。(図表11)業種別DX取組み状況(%)100806040202019608010010659.310365.81009766.5942019年度91宿泊費交通費買物代(「過剰」-「不足」、%Pt)6040200▲20▲40▲60▲803691236912369123691220192020202120222022全産業宿泊業・飲食サービス業生活関連サービス業・娯楽業2020年度2021年度全産業宿泊・飲食サービス対個人サービス(時間)181512(2020年=100)1151101051002022年度95147101471014710147102019147101471014710147102019202020212022202020212022全産業宿泊業・飲食サービス業生活関連サービス業・娯楽業インバウンドの回復による人手不足の深刻化人手不足の解消に向けて

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