ファイナンス 2023年3月号 No.688
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864206543210 2025Q42025Q22024Q42024Q22023Q42023Q22022Q42022Q2ファイナンス 2023 Mar. 67図表2:成長率見通し比較世界全体先進国新興国・途上国(出典)世界銀行「世界経済見通し(2023年1月)」。括弧内は前回見通しとの差異(単位:パーセンテージ・ポイント)。202320222.9%(0.0pp)1.7%(-1.3pp)2.5%(-0.1pp)0.5%(-1.7pp)3.4%(-0.8pp)3.4%(0.0pp)(出典)世界銀行「世界経済見通し(2023年1月)」(出典)Consensus Economics社発表のConsensus forecastsを元に筆者作成。先進国:34の国・地域、途上国:新興国・途上国49か国のGDP加重平均値。(出典)Bloomberg社のデータを元に筆者作成。2022年5月26日及び同年12月15日時点のOvernight Indexed Swap(OIS)に基づく。図表4:予想インフレ率(%)図表5:米欧の政策金利(市場予想)(%)0.0-0.2-0.4-0.6-0.8-1.0先進国2022-1新興国・途上国一次産品輸入国途上国2022一次産品輸出国(除、ロシア)2022年5月2022年12月先進国2023途上国2023米国(2022年5月)米国(2022年12月)ユーロ圏(2022年5月)ユーロ圏(2022年12月)まず、先進国、新興国・途上国のインフレ率予測を昨年5月時点と比較すると、先進国については2022年は1.2ポイント、2023年は1.7ポイントの上振れとなっていますが、これに対し新興国・途上国では、2022年はほぼ横ばい、2023年は0.7ポイントに上振れに留まり、予想を上回るインフレの高進は、先進国においてより顕著であることが伺えます(図表4)。こうした予想を上回るインフレの高進を受け、主要国の中央銀行は過去40年間で最も急激な金融引き締めを行っており、例えば米国やユーロ圏では、今次金融引き締めサイクルにおける政策金利の予想最終到達点(ターミナル・レート)が、半年前よりもそれぞれ2ポイントほども上振れています(図表5)。することから(例:ブラジル、インドネシア、ナイジェリア、サウジアラビア)、新興国・途上国全体としては、先進国に比してより緩やかな下方修正に留まっている一因となっています(図表3)。図表3:2023年成長率見通しの下方修正(パーセンテージ・ポイント)フォーカス金融政策・財政政策先ほど、今回世界経済の見通しが大幅に悪化している主な要因の一つとして、世界規模での予想を上回るインフレの高進と、これを受けての世界同時的な急激な金融引き締めを挙げましたが、ここで少し先進国・途上国それぞれにおいて金融政策・財政政策がどの程度変化したのか深堀りしてみたいと思います。確かに、ここ半年で顕在化した大きな景気下押し要因のいくつかは先進国において顕著なものです。例えば、金融政策について見ると、予想を上回るインフレの高進、金融政策の引き締め強化の度合いは先進国においてより顕著であり、加えて、ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー供給の混乱は、特に欧州諸国により大きな影響を与えています。その一方で、経済規模の大きな新興国・途上国には資源価格高の恩恵を受ける一次産品輸出国が多く存在

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