ファイナンス 2023年3月号 No.688
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ファイナンス 2023 Mar. 3その他■■■■■■円ff  ■■■■ff■■■■■ff■■■■■ff■■■■■■ff■■■■■■ff■■■■■ 教育費■■■■■円公共事業費■■■■ 円公債費■ ■■■■円*2) Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)の略社会保障費■■■■■■円地方交付税■■■■■円モデル家庭年収:夫■■■万円、妻■■■万円夫■■歳、妻■■歳共働き子■人(一般扶養■名、特定扶養■名)写真 3 主計局 主計官(司法・警察、経済産業、環境係担当) 有利 浩一郎警察費■■■■■円ff ■■■■防衛費 ■■■■円ff■■■■■図 1 税金の使われ方(モデル家庭を用いたイメージ)古市憲寿さん 例が適切かはわかりませんが、民間警備会社に月額一万円近く払ってホームセキュリティをお願いすることがありますよね。「呼んだらいつでもすぐに来てくれる」警察というのは、2千円以下の負担で提供されているんですね。公共サービスの効率のよさを実感します。社会保障も、公的医療保険などがない世界を想像してみると、かなり軽い負担で充実したサービスを受けているなと感じます。神野室長 一点補足をさせてもらうと、税だけでなく、保険料や国債発行についても考慮すると、もう少し大きな金額になっています。社会保障でいうと、約19万円増えて、22万円を超えますが、この差額を保険料のほか、国債発行で埋めていることになり、将来世代の負担のもと、給付を受けている状態であることがわかります。古市憲寿さん こうした数字で見てみると、普段当た国・地方税(月々)■万■■ ■■円り前と思っている公共サービスで、自分がどれだけ受益しているのかがわかりますよね。また、国債発行まで含めてみると、構造的なおかしさを感じてしまいます。昨今のコロナ対策で大規模な財政出動をしていますが、当初予算においても4割が国債発行に頼っている状況で本当に大丈夫なのでしょうか。有利主計官 財政面での懸念は後ほど述べたいと思いますが、負担が増えなくても、あるいは今まで受益を受けてきた政策をやめなくても、借金によって新たな政策を行ってしまう今の状況だと、当面は負担を伴わない、あるいは受益の減少を伴わないので、国民の皆様からの、国のお金の使い方がこれで良いのか、効率的な予算になっているのかといった関心が薄れてしまうのではないかということを懸念しています。大沢補佐 「こういった給付が欲しい」という話はあるものの、「こうしたことに使わないで」という声が聞かれないように思います。本来、自分で支払った税金であれば、使ってほしいものだけでなく、使ってほしくないものに対する意見もあっても良いと思うのですが。税金という形で政府を通じて、ある人から別の人にお金が移動しているのに、それについて「自分は関係ない」と思っている人が多い気がします。こんな使い道はおかしい、とか、これをやるくらいならこっちのほうに使ってほしいという議論は10年くらい前と比べて激減している印象です。古市憲寿さん そこには「自分がいくら税金を支払っているか」ということを意識している人が少ないことに起因する側面もあるのではないでしょうか。財政支出に関する議論には、MMT*2もありますが、財務省の方は財政状況の改善について、どのように考えているんでしょうか。また、国債は全額返せるのでしょうか。有利主計官 財務省としても国債を全部返し切って残高をゼロにすべきと考えているわけではありません。懸念しているのは、現在のような財政状況が続いた結果、借金が持続できない状況、すなわち金利が大きく上昇したり、最悪の場合国債を買ってもらえなくなったりすることです。

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