ファイナンス 2023年3月号 No.688
67/106

FOREIGNWATCHER 1 はじめに私は、2020年8月に財務省国際局から世界銀行開発見通し局(Prospects Group, Equitable Growth, Finance & Institutions(EFI))に出向して参りました。当時は、COVID-19第一波の真っ盛りで、着任後も完全リモートワークが続いていましたが、昨年の夏になり漸く本格的にオフィスが再開となり、現在は週に2、3日オフィスに出勤、残りは自宅勤務のハイブリッド式で勤務しています。*1ファイナンス 2023 Mar. 63 図表1:世界銀行「世界経済見通し(GEP)」*2*1) 本文中の意見、感想等についてはすべて筆者の個人的意見であり、所属する組織(世界銀行、日本国財務省)を代表するものではありません。本稿で紹介している業務内容・情報については、2023年2月15日時点での、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、執筆者個人の責任において不正確な点があったり、情報が古くなっていたりすることもあります。*2) レポートは以下のURL(https://www.worldbank.org/en/publication/global-economic-prospects)からご取得下さい。世界銀行開発見通し局エコノミスト 稲見 修*1るという貴重な機会をいただきましたので、本稿では、世界銀行開発見通し局の業務内容、世界銀行での経済見通しの作成過程などを可能な範囲で紹介させていただき、本年1月に発表された直近のGEPのポイントをご紹介出来ればと思います。*2世界銀行での業務というと、新興国・途上国の政府機関などを相手に、貧困削減・繁栄の共有に向けたプロジェクトを組成、実施するなどのイメージが強いのではないかと思いますが、私が所属する世界銀行開発見通し局では、マクロ経済情勢や一次産品価格などの見通しや分析などを対外的に発信することを主たる業務内容としており、私は主に、世界銀行が発表する「世界経済見通し(Global Economic Prospects report、以下 GEP)」(図表1)の作成に携わっています。GEPは、国際通貨基金(International Monetary Fund:IMF)のフラッグシップレポートであるWorld Economic Outlook(WEO)に相当するレポートで、年に2回、1月と6月に公表されています。GEPについては、世界銀行東京事務所のセミナーや各種メディアなどで紹介いただくことも多く、ご存じの方も多いかとは思いますが、今般の出向を通じその作成に携わ海外ウォッチャー世界銀行における世界経済見通しの作成・ポイント

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る