ファイナンス 2023年3月号 No.688
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Future TALKFuture TALK○○さんと○○さんと日本の未来とイマを考える日本の未来とイマを考える写真 1 対談参加者(中央が古市憲寿さん)*1) 世帯年収970万円(夫650万円、妻320万円)夫50歳、妻50歳共働き、子二人(一般扶養1名、特定扶養1名)写真 2 社会学者・古市 憲寿さん原田広報室長 皆さんどうぞよろしくお願いします。新しく立ち上げた本企画では、財政や税の役割とその現状等について、読者のみなさまにわかりやすく伝えられるよう、様々な分野の方をお招きして、財務省の所管する行政に触れながら、未来やイマについてトークをしてもらおうと思います。本日は第一回として、社会学者として活躍されている古市憲寿さんをお招きして、財務省の主計局・有利主計官、神野室長、主税局・大沢補佐と対談をしてもらいます。それでは、古市さん、よろしくお願いいたします。古市憲寿さん よろしくお願いいたします。少しですが海外に住んでいた経験もあるので、税や社会保障についての海外との比較や、ミクロに考えたときの受益と負担がどうなっているかなど、イメージしやすいお話ができればと思っています。古市憲寿さん 早速ですが、税については国民からすると「取られる」というイメージ、いわゆる「痛税感」から、非常に印象がよくないですよね。一方で、国の予算を見てみると税収では6割しかカバーできていなくて、4割は国債で賄っていますよね。その4割分、今の世代の人は得している状況とも言えます。このことを認識している人はあまり多くはないと思います。さらに言えば、税金の具体的な使い道についてイメージできている人も少ない気がします。例えば、警察サービスがいくらの個人負担で提供されているのかとか、サブスクリプションみたいなイメージでミクロで例えるとどう整理することができますか。有利主計官 シンプルに国の予算を家計の税負担額に割り振った形で考えてみると、夫婦共働きの家計*1で考えたとき、国と地方税を約8万7千円払っており、警察費に2千円、教育費に6千円、社会保障費に3万1千円支払っていることになっています。はじめに税金の使い道について 2 ファイナンス 2023 Mar.古市 憲寿さん(社会学者)編

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