ファイナンス 2023年3月号 No.688
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4391213391429143令和4年度予算執行調査の動き最後に、直近の令和4年度予算執行調査における調(表2)財務局による調査(共同調査・財務局調査)の件数の推移年度平成1446103調査件数(件)うち共同調査うち財務局調査155314216591261757154186811111962512206371022212373100650215724752162575918267514162756817285210142952111330令和元2374445131713511*17) 「新聞、報道等で問題視されているものや、その他日常において疑問を感じること等、常にアンテナを張り巡らし予算執行調査の対象とする事業の掘り起こしに努めています。また、対象事業の選定作業に際しては、期待される調査の結果を見越しての掘り起こしが必要であり、どのような調査項目を設定するかなど、調査票の内容まで考えながらの選定となります。」(「予算執行調査(財務局発足60周年記念特集「財務局の新たな役割」)」(ファイナンス平成21年12月号))*18) 「本年度の予算執行調査につきましては、3月に調査事案を公表し、39件の調査を実施しておりますが、そのうち調査の終了した34件について、今般、調査結果を取りまとめました。そこで、今朝の閣僚懇談会におきまして、私から各大臣に対しまして今回の調査結果を令和5年度予算の概算要求や今後の予算執行に確実に反映していただくようお願いをいたしました。」(令和4年7月26日鈴木俊一財務大臣閣議後記者会見における発言)僚懇談会において要請しています。*18そして、令和5年1月23日には、予算執行調査の令和5年度予算案への反映状況を公表しています。令和4年度調査の反映額は▲189億円となりました。また、過年度に実施した調査(令和3年度以前の調査)の令和5年度予算案への反映額は▲25億円となりました。(図9)以上のように、調査創設から20年の間、予算執行調査はその時々の社会情勢の変化や問題意識等に応じて調査方針の見直しを行うとともに、体制面の拡充等も行ってきました。我が国の財政事情は依然として厳しい状況にあり、財政資金の有効活用の観点から、予算の執行状況、効果の検証について国民の関心は一段と高くなっています。そうした中で、予算の使途、効果についての説明責任とともに、PDCAサイクルの取組はますます重要になっていくものと考えます。そのための重要なツールとしての予算執行調査の役割を考えれば、この取組は終わりのないものであり、より質の高い、効果的な調査の実現を目指して引き続き取り組んでいく必要があります。※本稿の意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織の見解を表すものではありません。4まとめ  〜更なる予算の効率化を目指して〜 48 ファイナンス 2023 Mar.調査」です。このうち「財務局調査」は、創設期から平成17年度調査までは査定の参考となる情報収集にとどまっていました。しかし、徐々に財務局内の体制が強化されたことに伴い、平成18年度調査からは「財務局調査」についても、調査事案数の拡充(11事案)とともに調査結果及び翌年度予算への反映状況の公表も行うこととしました。さらに平成19年度調査では財務局調査の開始時期を夏から春(本省調査と同時)に前倒しすることで、早期に調査が終了できるものについては概算要求段階から予算に反映させることが可能となりました。以降も、予算執行調査全体における「調査の質の向上」を図る中で、財務局による調査件数は毎年着実に実績を積み上げ続けています(表2)。またこれとは別に、財務局は地元情報の収集等を通じて、予算執行調査の調査事案の提案も積極的に行っています*17。このように、財務局においても様々な面から、予算の効率化に向けて主計局の予算編成業務に参画していると言えます。査結果・反映状況について簡単に紹介します。調査事案については令和4年3月25日に39件を選定し、その調査結果を7月26日(34件)及び10月7日(5件)に公表しました。新型コロナウイルス感染症の状況等も勘案しつつ、必要性・有効性・効率性の観点から調査を行い、今後の改善点・検討の方向性を指摘しています。7月公表の事案の調査結果については、財務大臣から各府省大臣に対し、令和5年度予算の概算要求や今後の予算執行に確実に反映するよう閣

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