ファイナンス 2023年3月号 No.688
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ファイナンス 2023 Mar. 37(参考6)地方債の例和歌山県財政の現状と課題 臨時財政対策債充当率100%措置率100%県債(交付税措置)100%*25) ただし、不交付団体(国から普通地方交付税措置を受けずに財政運営を行う自治体)を除く。*26) 公共事業等債には補正予算債(充当率100%、措置率50%)も存在するが、ここでは国の当初予算で措置される公共事業等債について述べる。*27) ただし、事業費補正分を除く。国庫補助(交付税措置)国土強靭化事業債充当率100%措置率50%県債(県負担)50%国庫補助県債50%(交付税措置)公共事業等債充当率90%措置率22.22%一般財源10%県債(県負担)70%県債20%一般単独事業債充当率75%措置率0%一般財源25%(県負担)県債75%ために地方が「肩代わり」して発行する債券であり、元利償還金相当額の全額が後年度地方交付税の基準財政需要額に算入されるため、地方の実質的な負担はありません*25。ただし、臨時財政対策債は例外で、地方債は原則ハード事業(投資的経費)に限定されています。その際、地方債充当率(以下「充当率」)と交付税措置率(以下「措置率」)という考え方があります。充当率というのは国庫補助を除く地方負担分(補助裏)のうちどの程度起債が可能なのか、措置率というのは実際の起債額(に対する毎年度の元利償還金)のうちどの程度交付税措置がなされるかを示すもので、総務省告示等で規定されています。例えば、和歌山県で100億円の公共事業があり、国庫補助率が2分の1、充当率が90%、措置率が22.2%とします。この場合、事業実施に当たり国から50億円の補助を受けられるため県負担額は50億円です。この県負担額50億円の90%にあたる45億円は起債によって資金調達ができ、さらに45億円×22.2%の10億円は後年度に地方交付税として国から財政措置がなされます。よって、100億円のうち、国庫補助金と地方交付税を除く実質的な県負担額は40億円で、このうち当該年度に必要な一般財源は5億円ということになります。公共事業に関する代表的な起債メニューとしては、(1)一般単独事業債、(2)防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債(以下「国土強靱化事業債」)、(3)公共事業等債が挙げられます。それぞれ充当率・措置率は(参考6)の通りです。一般単独事業債は、国の補助対象外の地方独自事業を実施するために起債される地方債です。事業費に対して75%の起債が認められていますが、交付税措置はありません。国土強靱化事業債は平成30~令和2年の「3か年緊急対策」及び令和3~7年の「5か年加速化対策」に基づいて行われる防災・減災、国土強靱化に資する事業を実施ために起債される地方債です。事業費に対して100%の起債が認められ、50%の交付税措置があります。公共事業等債*26は、国の当初予算で措置された公共事業等を実施するために起債される地方債です。事業費に対して90%の起債が認められ、22.2%の交付税措置があります*27。このように受けられる措置に差があることから、選択可能な地方債については措置率の高い県債を活用することで、公債費から当該年度に措置される交付税額を除いた「実質的な公債費」の額を抑制することができます。ただし、国土強靱化事業債は地方自治体にとって魅力的な起債ではありますが、事業量を無尽蔵に増やすことは後年度負担を増大させることに繋がるため、見合いの公共事業等を縮減することを目的とした事業総量のコントロールが重要となります。方策(2) 国に対する要望の一元管理国庫補助を受けて行う公共事業については、N+1

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