ファイナンス 2023年3月号 No.688
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*1) 地方交付税法第6条第1項*2) 地方交付税法第7条の規定に基づき作成される地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類。*3) 地方税、地方譲与税、地方特例交付金等、地方交付税交付金、臨時財政対策債の合計。*4) 「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)*5) 水準超経費(2兆8,900億円)を除いている。主計局主計官 小澤 研也国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)へ繰り入れられる地方交付税交付金(入口ベース)は、国税収入の一定割合(所得税及び法人税の収入額の33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収入額の19.5%)であるいわゆる国税4税の法定率分*1に、以下2点の処理を行った上で決定される。・ 過去の地方財政対策における国と地方の貸し借りなどに起因して、地方交付税法附則等によって後年度に加算することが定められている額の加算(法定加算等)及び過年度の精算による加減算・ 地方財政全体の収支見通しにおける財源不足額のうち、国・地方が折半して補塡する「折半対象財源不足」の半額の加算(国による特例加算)これに、地方法人税や借入金元利償還といった交付税特会の財源・支出を加減算することで、実際に地方公共団体に交付される地方交付税交付金(出口ベース)が決定される。地方財政計画*2においては、平成23年度以降、地方の歳出水準について国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源*3の総額について、前年度を下 20 ファイナンス 2023 Mar.(2)地方一般財源総額実質同水準ルール1.はじめに(1)地方交付税交付金制度の仕組み2. 令和5年度地方財政対策の概要について回らないよう実質的に同水準を確保することとされてきた(「地方一般財源総額実質同水準ルール」)。政府は平成30年6月15日に「新経済・財政再生計画」を含む「経済財政運営と改革の基本方針2018」を閣議決定し、令和7年度(2025年度)の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指す旨を掲げた。この財政健全化目標の実現に向けて、この地方一般財源総額実質同水準ルールを令和6年度(2024年度)まで維持することとしている*4。令和5年度の地方財政対策においては、交付団体をはじめ地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、前述した地方一般財源総額実質同水準ルールを堅持することを基本として地方財政対策を講ずることとした。その結果、地方公共団体に交付される地方交付税交付金(出口ベース)は18.4兆円(対前年度+0.3兆円)、地方の一般財源総額は62.2兆円*5(対前年度+0.15兆円)とし前年度と実質的に同水準を確保した。また、好調な国税収入、地方税収等の見込みを背景に、前年度に引き続き折半対象財源不足は生じておらず、臨時財政対策債は過去最低の1.0兆円(対前年度▲0.8兆円)となるとともに、交付税特会の借入金について償還計画額(0.5兆円)を大幅に上回る1.3兆円の償還を行うこととす令和5年度 地方財政対策について

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