ファイナンス 2023年3月号 No.688
20/106

16 ファイナンス 2023 Mar.(1)エネルギー需給勘定(石油石炭税財源)4 エネルギー対策特別会計小企業等を取り巻く経営課題に対応するために必要な予算を計上している。具体的には、「下請かけこみ寺」による事業者からの相談対応、下請代金法の執行、下請Gメン(取引調査員)による監督等により取引適正化を推進する中小企業取引対策事業24億円〔+2億円〕、中小企業が産学官連携により行う研究開発等を支援する成長型中小企業等研究開発支援事業133億円〔+28億円〕、再生計画策定支援やマッチング支援等を実施する中小企業活性化・事業承継総合支援事業157億円〔▲1億円〕を計上している。資金繰り対策については、(株)日本政策金融公庫による低利融資や信用保証協会の債務保証等を円滑に行うため212億円〔▲15億円〕(別途財務省分604億円〔▲2億円〕)を計上している。エネルギー対策特別会計には、石油石炭税収を財源とするエネルギー需給勘定、電源開発促進税収を財源とする電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定の3つの勘定がある。また、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化で得られる将来の財源を裏付けとしたGX経済移行債の発行により、民間のGX投資を支援する仕組みを創設し、新たな枠組みの下で支援を開始することとしている。令和5年度予算においては、石油・天然ガスの安定供給確保のため、必要な開発案件への支援や国内石油精製機能の強化等による石油供給構造の高度化等に必要な経費を計上している。また、内外の経済的、社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築を図るため、再生可能エネルギーの利用拡大のための技術開発に要する経費及び省エネルギー設備等の導入支援に要する経費等を計上している。ア.燃料安定供給対策我が国のエネルギーの安定供給を確保する観点から、次世代燃料安定供給の促進に必要な予算を計上している。具体的には、次世代燃料(非化石)の製造・安定供給のための環境整備や、自然災害に対する製油所の強靱化等を支援するとともに、カーボンニュートラル社会に対応した製油所等の事業再構築を促進するため66億円〔▲9億円〕等を計上している。イ.エネルギー需給構造高度化対策内外の経済的、社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築を図るため、先進的な省エネルギー設備等の導入を支援するとともに、アンモニア混焼等の技術開発等を実施することとしている。具体的には、工場・事業場における先進的な省エネ設備等の導入を支援するため261億円〔+7億円〕、火力発電の高効率化・低炭素化に向けたアンモニア混焼等の技術開発のほか、火力発電所等から回収した二酸化炭素を再利用するためのカーボンリサイクル技術開発を実施するため176億円〔+7億円〕等を計上している。(2)電源開発促進勘定(電源開発促進税財源)電源開発促進勘定の歳出は、発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的とする「電源立地対策」、発電用施設の利用促進と安全確保等を目的とする「電源利用対策」及び「原子力安全規制対策」で構成されており、前二者の経済産業省所管分については、それぞれ1,492億円〔+29億円〕、112億円〔▲36億円〕を計上している。このうち、「電源立地対策」の約半分を占める電源立地地域対策交付金は、発電用施設等の立地の促進及び運転の円滑化を図るため、立地自治体に対して交付される交付金である。設備容量や発電電力量などによって交付額が算定されており、745億円〔+14億円〕を計上している。また、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成28年12月閣議決定)を踏まえ、中間貯蔵施設費用相当分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対する交付金として470億円〔同額〕を計上している。(3)GX対策等(GX経済移行債発行対象経費)成長志向型カーボンプライシング構想の具体化で得られる将来の財源を裏付けとしたGX経済移行債の発行により、民間のGX投資を支援する仕組みを創設し、2050年カーボンニュートラル目標達成に向けた革新

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る