ファイナンス 2023年3月号 No.688
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*10) 国際機関等への拠出で記載されている予算額は、非ODA予算も含む。 12 ファイナンス 2023 Mar.5.外交関係予算(1)ODA予算ア.ODA予算の位置付けと5年度予算の特徴(2)外務省予算[無償資金協力・技術協力]必要な予算を復興庁が一括して要求し、予算を計上しているところであり、4,647億円を計上している。また、執行段階においても、復興庁が各省庁へ事業の実施に関する計画等を通知し、予算の配分を行っている。我が国のODA予算は、経済成長及び経常収支黒字の拡大を背景に1970年代末から1990年代後半にかけて大幅に増加した後、財政構造改革に伴い、各年度その水準の引き下げを図ることとされた。近年はおおむね横ばいとなっており、「自由で開かれたアジア太平洋」の実現等に向け用いられている。5年度における一般会計ODA予算は、新型コロナウイルス感染症の国際的な収束や、気候変動対策を含む開発・人道支援ニーズ、「自由で開かれたインド太平洋」の具体化のために重点的に予算を配分し、前年度より98億円の増加となる5,709億円(4年度5,612億円)を計上している。4年度第2次補正予算と合わせると9,124億円となり、過去最大の伸び(対前年度1,911億円増)となった。イ.外務省ODA予算ODA予算の大部分を占める外務省ODA予算は、主に、無償資金協力、技術協力及び国際機関等への拠出から構成される。無償資金協力は、返済義務のない資金を供与するものであり、主に、所得水準の低い国を対象としている。医療・保健、食糧援助といった基礎的生活分野への援助や、地雷除去、環境保全等の取組への支援、経済発展のために必要な道路・橋梁の建設等インフラ整備への支援、災害や難民援助に係る緊急人道支援など、多岐にわたる支援を実施している。技術協力は、感染症対策や気候変動対策といった途上国の開発課題に対処すべく、日本の技術や知見を相手国の技術者等に伝えることを目的として、国際協力機構が専門家の派遣や研修員の受入れ等を行うものである。5年度予算においては、「自由で開かれたインド太平洋」の具体化、グローバルな課題への対処、複雑さを増す安全保障・経済環境への対応等に必要な経費として、無償資金協力については1,634億円(4年度1,633億円)、技術協力については1,519億円(4年度1,518億円)を、それぞれ計上している。[国際機関等への拠出*10]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。この任意拠出金については、国際機関等の活動の成果・影響力、日本の外交政策上の有用性・重要性、組織・財政マネジメント及び日本人職員・ポストの状況等を踏まえつつ、メリハリ付けを行っている。5年度予算では、分担金・義務的拠出金として1,151億円(4年度1,012億円)、任意拠出金として182億円(4年度339億円)を、それぞれ計上している。ODA予算を確保しつつ、異例の円安・物価高(ドルの場合、4年度108円→5年度137円)にも対応し、日々の外交活動を支える経費を重点的に手当するなど外交・領事実施体制を強化している。4年度第2次補正予算と合わせた外務省予算は、32年前の湾岸戦争時を除き、初の1兆円台となった。外務省予算の主な項目は以下のとおりである。ア. 「自由で開かれたインド太平洋」を含む法の支配に基づく国際秩序の維持・拡大質の高いインフラや海上保安能力向上を含む「自由で開かれたインド太平洋」の実現や、経済安全保障の推進及び食料危機等ウクライナ侵略の影響を受ける国への支援等のため、5.(1)イで述べた無償資金協

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