ファイナンス 2023年2月号 No.687
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令和4年度第2次補正予算及び令和5年度予算について ファイナンス 2023 Feb. 53.令和5年度予算の概要(1)令和5年度予算のポイント(2)令和5年度予算のフレーム令和5年度予算は、歴史の転換期にあって、日本が直面する内外の重要課題の解決に道筋をつけ、未来を切り拓くための予算としている。本予算は、前述の経済財政状況等を踏まえ、「令和5年度予算編成の基本方針」(令和4年12月2日閣議決定)に沿って編成が進められたものであり、具体的なポイントは以下の通りである。(1)我が国が直面する内外の重要課題への対応【安全保障・外交】我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえ、新たな国家安全保障戦略等を策定し、5年間で緊急的に防衛力を抜本的に強化するため、43兆円の防衛力整備計画を実施するとともに、防衛力を安定的に維持するための財源を確保する。また、G7広島サミットや日本ASEAN友好協力50周年等を見据え、機動的で力強い新時代リアリズム外交を展開するための予算を確保する。【こども政策】本年4月にこども家庭庁を創設し、こども・子育て支援を強化する。出産育児一時金については、過去最高の引上げ幅となる42万円から50万円に引き上げる。加えて、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と、妊娠届出・出生届出を行った妊婦・子育て家庭に対する経済的支援をあわせたパッケージを引き続き実施する。【地方・デジタル田園都市国家構想】地方団体に交付される地方交付税交付金は、リーマンショック後最高となる18.4兆円を確保する。また、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」の策定を踏まえ、デジタル田園都市国家構想交付金により、自治体のデジタル実装の加速化や、デジタルの活用による観光・農林水産業の振興等の地方創生に資する取組などを支援する。【GX】成長志向型カーボンプライシング構想の具体化で得られる将来の財源を裏付けとした「GX経済移行債」の発行により、民間のGX投資を支援する仕組みを創設する。また、2050年カーボンニュートラル目標達成に向けた革新的な技術開発やクリーンエネルギー自動車の導入などの支援を開始する。(2)メリハリの効いた予算同時に、「経済財政運営と改革の基本方針2022」等に基づき、社会保障関係費について、実質的な伸びを「高齢化による増加分におさめる」という方針を達成するとともに、社会保障関係費以外について、防衛関係費の増額を達成しつつ、経済・物価動向等を踏まえて柔軟な対応を行うことを通じて、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続している。・社会保障関係費+4,100億円程度(高齢化による増(年金スライド分+2,200億円程度を除く))+47,417億円・非社会保障関係費(税外収入の防衛力強化対応(45,919億円)を除き+1,500億円程度※)(防衛関係費の増額を達成しつつ、経済・物価動向等を踏まえて柔軟な対応を行うことを通じて、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続)※ 平成25〜令和3年度における消費者物価上昇率は平均+0.38%程度、当初予算における社会保障関係費以外の歳出増は平均+330億円程度。令和5年の消費者物価上昇率(政府経済見通し)は+1.7%。また、行政事業レビューや予算執行調査等の反映に取り組むなど、予算の質も向上させている。結果として、前年度予算と比較して、新規国債発行額を減額する(令和4年度(当初)36.9兆円⇒令和5年度35.6兆円)など、メリハリの効いた予算となるよう編成している。令和5年度予算の一般歳出については、72兆7,317億円であり、これに地方交付税交付金等16兆3,992億円及び国債費25兆2,503億円を加えた一般会計総額は、114兆3,812億円となっている。歳入については、租税等の収入は69兆4,400億円、その他収入は9兆3,182億円を見込み、公債金は35兆6,230億円となっている。

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