ファイナンス 2023年2月号 No.687
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*6) IMF(2022a)、IMF(2022b)による。*7) 2021年11月15日にワクチン接種済みの外国人に対する入国規制を緩和。2022年10月3日以降は水際措置を撤廃し、ワクチン接種の状況に関わら2011年(128億米ドル)39.8%(注)( )は名目GDP。(出所)IMF、ADB604020▲20▲40▲60▲80ず、到着後の隔離、陰性証明書の提示等が不要となった。2010(出所)ADB201120122013201436.7%23.5%農林水産業貿易収支(右軸)201520162017201836.4%鉱工業サービス業輸出(左軸)2021年(263億米ドル)24.3%39.2%(百万米ドル)9,0006,0003,00000▲3,000▲6,000▲9,000輸入(左軸)▲12,000201920202021図表2 カンボジアの名目GDP構成比図表3 カンボジアの貿易の推移(前年比、%) 84 ファイナンス 2023 Feb.ては、クメール・ルージュ(カンボジア共産党)のポル・ポト政権下(1975-1979年)で、農業以外の産業が排斥された影響も残り、縫製業以外の産業の成長が遅れています。他方で、サービス業は、2019年の観光収入が49億米ドル(CEIC)と名目GDP(IMF「World Economic Outlook, October 2022」)の18.2%となるなど、経済を下支えしています*6。観光業は、2020-2021年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて外国人観光客が大幅に減少し大きな打撃を受けましたが、足元では2021年11月以降の水際対策緩和*7を受けて回復しつつあります。近年は、カンボジアの低廉な人件費や米中貿易摩擦等を背景に、タイプラスワン、ベトナムプラスワンとして、サプライチェーン上のカンボジアの重要性が増しており、海外からの製造拠点のシフトが進んでいます。カンボジアの貿易動向を見ると、輸出・輸入を合わせた貿易総額は拡大傾向にありますが、貿易収支は輸入超過で赤字が継続しています(図表3)。貿易品目については、輸出の約50%が縫製品、輸入の約20%が繊維原料となっており(図表4)、縫製業への集中が目立ちます。加えて、貿易相手国を見ると、輸出の38.5%が米国向けとなっており、輸出先の多角化が課題となっています。また、最大の輸入先である中国からの輸入が、2010年の11.9億米ドルから、2021年には97.6億米ドルにまで増加しており(出所:アジア開発銀行(ADB)(2022b))、貿易赤字拡

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