ファイナンス 2023年2月号 No.687
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*37) https://andcapital.jp/*38) 提言「アフリカ投資機構(仮称)の設立を〜開発投資の加速ん向けた更なる官民連携強化の道筋」(2021年10月、経済同友会) *39) アフリカ開発銀行プレスリリース(2022年11月4日) https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2021/211006a.htmlhttps://www.afdb.org/en/news-and-events/press-releases/keizai-doyukai-african-development-bank-group-sign-letter-intent-strengthen-cooperation-and-business-ties-between-japan-and-africa-56067 (写真)経済同友会とアフリカ開発銀行の協力趣旨書の締結式における渋澤健氏(左)とアフリカ開発銀行の民間担当副総裁であるSolomon Quaynor氏(右)。ファイナンス 2023 Feb. 79(3) (1)と(2)の動きを組み合わせる動き、アフリカ開発銀行の紹介このように、この10年間で、アフリカの開発の潮流に合った形で日本がアフリカとともに成長するための動きが進みつつある。今後、ご紹介したような伝統的な日本企業のアフリカの成長を取り込んでいく取組と、進取の気性に富む日本人の動きがともに強化され、その二つの動きが有機的に組み合わさっていけば、日本のアフリカでの存在感は大きくなり、アフリカと日本がともに裨益する関係を作っていけるのではないかと期待している。この観点からの動きとして、本年1月に渋澤健氏と佐藤哲氏よって設立された「& Capital」*37というアフリカ向けのインパクトファンドを紹介したい。同ファンドが設立された背景の詳細については、同ファンドのホームページをご覧いただきたいが、同ファンドは、「アフリカの成長性が高いにも関わらず、日本からの投資が減っていること」に危機意識を持ち、「アフリカに特化したインパクトファンドである『アフリカ投資機構(仮称)』を設立すべき」という2021年8月の経済同友会の提言*38と軌を一にする形で設立されたものである。同社のホームページに明記してあるように「投資運用の主体は&Capital(商号 株式会社 and Capital)であり、経済同友会は投資、運用会社の経営に組織として関与いたしません」とのことであるが、その出自や渋澤氏や佐藤氏の持つ日本企業との深い関わりを考えると、前述したような日本企業と日系を含むアフリカのスタートアップを力強く組み合わせることなどを通じてアフリカの発展に寄与するととともに、日本も裨益していくことを実現する潜在力があると思われ、活躍が期待される。同ファンドについては、アフリカ開発銀行が、一緒に作り上げていく(co-creation of an impact fund)ことにコミットしている*39ことも紹介したい。アフリカ開発銀行は、2021年末の段階で、100を超える投資ファンドや機関に対して、約10億SDR(現在の為替で13億ドル強)の投資残高を保有しており、アフリカ最大のfund of fundsと言われる場合もあるなど、アフリカの投資ファンドや企業と幅広い関係を持っており、日本経済界に深いつながりを持つ同ファンドとのシナジーは高いのではないかと思う。なお、こうしたコミットは、昨年8月のTICAD8にて、アフリカ開発銀行のアデシナ総裁と経済同友会の派遣団と

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