ファイナンス 2023年2月号 No.687
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*16) 味の素HP:「味の素(株)、エジプトとトルコに販売法人設立を決定」(2011年6月9日) *17) 味の素HP:「味の素(株)、コートジボワールに販売法人設立」(2011年10月21日) https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2011_10_21.html*18) 味の素HP:「味の素(株)、プロマシドール・ホールディングス社の株式」(2016年11月8日) *19) 味の素においては、このほか、農業資材事業の子会社を傘下に持つスペインのアグロ2アグリ社の株式の過半数を2017年に取得している。A2A社は主にアミノ酸をベースとしたバイオスティミュラント(BS)製品の製造・販売を行い、アフリカ地域を含めた世界50カ国以上で事業展開していることから、アフリカにおける農業生産性の向上等に貢献しうる存在である。なお、BSとは、アミノ酸等の発酵微生物由来成分や天然抽出物等の自然素材を配合した植物が本来持つ免疫力や植物の成長を促すものであり、農薬とは異なる新しい農業資材である。https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2017_10_17.html *20) 東芝HP:https://www.global.toshiba/jp/news/energy/2019/08/news-20190821-01.html*21) こうした新しい動きについては、下記リンクの「TICAD 8 MOU記念式典(2022年8月27日)参加企業・団体及びMOU一覧」というTICAD8の *22) 紹介させていただいた日系企業の動き自体については、各社のホームページをもとに当方が自分でまとめたものであり、仮に誤りがあれば、それは全て筆者の責任である。ただし、仮に(ある意味幸いなことに、)このエッセーをもとに何かしらのアクションを取る方があれば、正しい情報については自ら原資料に当たったり、関係者に直接面会したりして確認して欲しい。る*12。技術系・インフラ系の会社についても、NECが2015年にICT solution会社のXON社*13、日立が2020年にスイスのABB社からパワーグリッド事業を買収している*14。また、食品系では、カゴメが、西アフリカ市場を狙って、JICAとも連携しながら、2017年にセネガルにトマト製品の生産・加工の拠点を設けている*15ほか、味の素が、ナイジェリア(1991年)、エジプト(2011年)*16、コートジボワール(2012年)に販売会社を設置した上で*17、2016年により多くのアフリカに強みを持つプロマシドール社*18に資本参加している*19。なお、東芝(1967年に南アフリカに現地事務所を設置*20)のように、古くからアフリカに営業拠点を設け、ある意味自力で幅広い販路を築いている会社もある。また、資源関係のビジネスでも、アフリカで採掘した資源をアフリカ外に輸出するのでなく、そうした資源をアフリカ市場向けのアンモニア(肥料の原料)や水素にするための製造プラントを建設する動きがあるなど、アフリカの需要を満たそうとする動きが出つつある*21。今後、こうして深まりつつある繋がりを活かし、アフリカの人々の生活により深く関わる活動を増やしたり、前回紹介したようなアフリカの民間企業主導の開発などにより多く関わったりしていくことが期待される。https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2020/200210.htmlhttps://jpn.nec.com/press/201507/20150722_01.htmlNEC HP:「NEC、南アフリカのICTソリューション企業XON社を子会社化」(2018年2月9日)https://jpn.nec.com/press/201802/20180209_01.htmlhttps://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/07/f_0701.pdf地の形成とトマト加工品市場への参入」(2017年10月27日)https://www.kagome.co.jp/company/news/2017/2017102501.htmlhttps://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2011_06_09.htmlhttps://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2016_11_08_3.htmlビジネスフォーラム向けに取りまとめられた資料が参考になる。https://www.mofa.go.jp/■les/100420292.pdf*12) 伊藤忠商事HP:「アフリカ無電化地域への対策を推進する英国Winch Energy Limitedへの出資参画」(2020年2月10日) *13) NEC HP:「NEC、南アフリカのICTソリューション企業XON社に資本参加」(2015年7月22日) *14) 日立HP:「日立がABB社のパワーグリッド事業の買収を完了し、日立ABBパワーグリッド社として営業開始」(2020年7月1日) *15) カゴメHP:「需要が拡大する西アフリカ市場の戦略拠点としてセネガルに加工用トマトの営農会社を設立 農業技術資源を活用した新たなトマト産 76 ファイナンス 2023 Feb.(2) 日本人によるアフリカでの起業や投資の動き私自身は、こうした動きについて、主にアフリカで活躍する日系企業の方々から学ばせていただいている*22が、こうした方々の多くは、「自分たちの会社が成長を持続していくためにはアフリカを頑張って攻略しないといけない」「今、アフリカを攻めないと手遅れになる」などの強い危機感・使命感をもって、アフリカ各地を回り、アフリカの人々の生活をよく観察しながら、新しいオペレーションを積極的に模索しており、非常に頼もしい。さらに、そうした人々の努力の結果としての実際の企業の活動として、例えば、投資先の企業のアフリカ他国への進出や関連する新分野への進出について株主として後押ししたり、日本企業ならではのネットワークを活かして支援したりなど、資本参画後もしっかりと付加価値を出しつつある。実は、私が理事を務めるアフリカ開発銀行と日本企業の連携を深めるべく、弊行の民間担当副総裁とともに、日本企業の南アフリカの拠点を訪問させていただいたことがあるが、同副総裁は、日本企業が資本参画等によりアフリカで活動しつつあることとともに、この点(株主として付加価値を出していること)に非常に感銘を受けていた。次に、日本人によるアフリカでの起業や投資について触れたい。日本人によるアフリカでの起業については、1960年代からアフリカで活動し、1974年に「ケニア・ナッツ・カンパニー」を設立し、世界的でも有数のマカデミアナッツ会社として育て上げた佐藤芳之

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