ファイナンス 2023年2月号 No.687
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2 日本のアフリカでの経済的な活動、*4) 豊田通商HP:「プロジェクトストーリー アフリカでのプレゼンスNo1へ」 *5) 三菱商事HP:「オフグリッド分散電源事業者 英国BBOXXへの資本参画」(2019年8月28日) *6) 三菱商事のHP:「Olam社との資本業務提携に関するお知らせ」(2015年8月28日) *7) Csquared 社のHP https://www.csquared.com/index.php/about-us/*8) Eコマースを手掛けるのはKyoskというプラットホーム https://kyosk.app/about-us/*9) 三井物産HP:「ETC Group Limitedへの出資参画」(2017年11月20日) *10) 三井物産HP:「モロッコの穀物・飼料・ブロイラーインテグレーション事業者であるZalar Holding社に出資参画」(2018年6月21日) *11) 伊藤忠商事HP:「シエラレオネ共和国におけるDoleパイナップル生産事業への取組について」(2019年8月26日) https://www.toyota-tsusho.com/about/project/11.htmlhttps://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2019/html/0000038207.htmlhttps://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/pr/archive/2015/html/0000028410.htmlhttps://www.mitsui.com/jp/ja/release/2017/1225042_10838.htmlhttps://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2018/1226505_11233.htmlhttps://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2019/190826.html ファイナンス 2023 Feb. 75今後のアフリカ(1)日本企業の動き金手当てすることもあるほどだ。また、人々の電気アクセスが足りないなど分かりやすい社会課題があり、社会課題解決型の起業に向いており、アフリカ内外から起業家と資金が集まり、スタートアップ企業が興隆していることも述べた。スタートアップに限らず、アフリカへの投資は増加しているが、これは、2050年には25億人に達し、世界の4人に1人がアフリカの人となると言われるアフリカのマーケットしての成長性への期待の表れだと考えられる。こうしたアフリカの成長に向けた動きは非常に力強く、世界経済の動きなどの外部要因やアフリカ内部の政治状況なども含め多くのアップダウンがあるにせよ、遅かれ早かれアフリカは成長するだろうというのが、私の現時点の見方であることを述べた。さて、このようなアフリカで日本企業や日本人の活動はどのようになっているのだろうか。次章で触れるように投資規模がまだまだ足りないなどの課題はあるものの、実は、日本企業においては、アフリカとともに成長していくための基礎作りが進みつつあるほか、アフリカにおけるスタートアップの興隆と軌を一にして、アフリカで活躍する日本人の起業家や投資家も増えつつあるなど、ポジティブな進展が見られる。まず、日本企業について述べたい。日本企業にとって、最も伝統的な分野は資源関係の取引であり、欧米諸国と同じように、多くの日本の商社がアフリカの資源について権益を確保しており、資源ビジネスは彼らのコアビジネスの一つとなっている。しかしながら、資源ビジネスは、基本的には、アフリカの資源で日本を含めたグローバルな需要を満たすビジネスであり、アフリカの人口増・マーケット拡大との連動性は高くない。このため、アフリカ市場から着実に裨益していくためには、人口増とともに伸びそうな分野、アフリカの人々の生活に根差した分野に、今の段階から先行投資的に関わっていくことが重要であるが、この10年でそうした動きが起こりつつある。より具体的には、日本の代表的な企業が、農業・食糧・通信・インフラといった分野で、アフリカで活動する地場の大企業やスタートアップに資本参画しつつあるほか、アフリカの需要を満たすようにアフリカに生産・加工拠点等を設立するなどがある。具体のイメージを少しでももってもらうため、日本企業による出資等の事例を列挙してみる。紙面の関係でかなり無機的な書き方になるほか、一部の企業の事例しか紹介できないが、この10年で多くの動きがあることが伝われば幸いである。商社については、豊田通商は、2012年に自動車・薬品・食品等の小売りなどにアフリカで強みを持つフランス商社であるCFAO*4、三菱商事は、第1回目で触れたBboxx社の他*5、2015年にカカオ・綿・コメなど幅広い農業生産・肥料製造・食品加工などを行うナイジェリア発のOLAM社*6、三井物産は、2017年にウガンダで光ファイバー事業を行うCsquared社*7、2018年に肥料・種子の販売や商品作物の生産・加工・販売のほかインフォーマルセクターでのeコマース*8等を手掛けるケニア発でアフリカ29か国に拠点を持つETG社*9や鶏肉の生産・加工を手掛けるモロッコ発のZalar社に*10出資している。伊藤忠商事については、子会社のAsia Dole社が、シエラレオネでのパイナップル生産を2019年から開始しているほか*11、再生エネルギーを手掛けるWinch Energy社に2020年に出資してい

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