ファイナンス 2023年2月号 No.687
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令和4年度職員トップセミナー ファイナンス 2023 Feb. 673.「芸術未来研究所」(仮称)構想(2)芸術とSDGsとの関わり17の色があり、この17の色がマークの真ん中で滲んで混ざっております。17のゴールがそれぞれあり、関係し合っている、17の色が滲んで混ざっている、そこに芸術がある、ということを示すためにビジュアルとしてこのマークを制作したのです。芸術がどこでSDGsと関わっているのか、というと、真ん中の混ざっているところです。この混ざったものは何かというと、これは「人間の心」だと捉えていただきたいのです。心模様とか、気持ちが変化する、その気になる、その気にならない、昨日までやろうと思っていたけれど、今日は気分が違うな、人に会ったら急にやりたくなった、というように心は移ろうものですが、その心というものが日常の行動に大きく影響しています。そして持続可能な17のゴールをすべて継続していくには、当然数値的な目標も必要になります。数値的な目標があることによって計画的なことができる、そして達成感も感じることができるのですが、数値とは関係なしに、こうした取り組みをしっかりと継続していくには、その気持ちに本当にならないといけないのです。「差別をなくしたい」「海をきれいにしたい」という気持ちにならないといけない。「会社から言われたから、ペットボトルを分別する、電気を消す」という強制的なものではなく、本当に地球のことをイメージしながら日常の行動が変容するようになるには、「心がその気になっているかどうか」が何より大切なことだと私は考えます。そして心に対して作用する力があるのが芸術であると考えていただくと、芸術が17のゴール、SDGsに関連してくるという見方もできるかと思います。多くの表現者たちには観客がいます。美術館に行くと鑑賞者がいる、音楽ホールに行くとそこにお客さんがいる、その人たちに向けて発信していくわけです。そして発信する芸術家は、受信した人たち、見た人たち、聴いた人たちが自分の絵を見て、作品を見て、音楽を聴いて、この人たちが日常に帰った時にどのように行動変容するだろうか、ということを想像したうえで発信することを意識していきましょう、ということを表現者でもある藝大の先生たちに藝大SDGsの中で伝えていきました。(1)芸術が社会に貢献できることを研究・実践そのような展覧会、活動を行いながら、藝大は「芸術未来研究所」(仮称)という構想をもって動き始めようとしております。東京藝術大学が研究と教育を行っていく中で、様々な企業、他大学、団体と関連しながら、「芸術が社会に貢献できる」ことを研究して実践していこうということを掲げている研究所になります。(2)イメージすることの大切さ東京藝術大学では各研究室がそれぞれの研究分野をそれぞれの専門性ある学外の団体、研究所、自治体と共に研究しております。けれども全体として藝大の一つのブランディングといいますか、外から見た時に「東京藝術大学が新しい試みをしているのだ」というひとつの顔をしっかりつくっていこう、というのがこの「芸術未来研究所」(仮称)になります。「芸術未来研究所」(仮称)が一番大事にしようとしていることは「イメージしてみよう」ということです。感覚をイメージしてみよう、時間をイメージしてみよう、自己を、自然を、風景を、感情を、関係を、他者を、質量を、生命をイメージしてみよう、ということです。「想像する力は、人が生きる力。」それが「世界を変え、未来を創る力。」になっていくのではないか。イメージする力というものを音楽とか美術といった領域を飛び越えて、「芸術未来研究所」のコンセプトとして掲げていきたいと考えております。「芸術未来研究所」(仮称)のミッション、アプローチなどはご覧いただいている画面に細かく書いてありますけれども、その実践を行う場として、若手や学生のアーティストが参加しながらアイディアを創出していくという「I LOVE YOU」プロジェクトがあります。学生たちも参加しながら若手アーティストの様々なアイディアを取り入れて活動しております。「人が変わる」「大学が変わる」「社会が変わる」「育成期間のラップアップと、本格型に向けた意気込み」と資料にありますが、これらはSDGs×ウィズ/ポストコロナにかかるビジョンを共有していこう、多様な

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