ファイナンス 2023年2月号 No.687
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66 ファイナンス 2023 Feb.2.東京藝術大学がSDGsに取り組む(1)東京藝術大学がSDGsに取り組む理由東京藝術大学というと、多くの方は絵画、日本画、彫刻、音楽ではピアノ、バイオリン、管楽器、声楽、オペラなどを想像されると思いますが、(東京藝術大学の前身である)東京音楽学校、東京美術学校が創設されてから140年ほどたちます。最近はまた150年ということがよく聞かれまして、鉄道が開業して150年、上野の東京国立博物館ができて150年という数字が出てきます。150年前から私共の生活様式が一気に西洋化して文明開化してきたわけです。そうした中で東京音楽学校も東京美術学校も設立されました。はじめに皆さんこんにちは、日比野と申します。対面で参加の方々、オンライン参加の方々、よろしくお願いいたします。東京藝術大学では、現在第4期中期目標として掲げております内容に沿って「共創の場」というプロジェクトを始めております。本日はその取り組みについてお話させていただきます。このプロジェクトのリーダーである伊藤達矢特任教授も本日同席しており、伊藤先生からも後ほど皆様にプロジェクトの内容についてご説明させていただきます。1.日本の西洋化と東京藝術大学私は今年4月から学長になりました。それまでは美術学部の学部長を6年間、教員としては1995年から務めておりました。私は1978年に東京藝術大学美術学部のデザイン科に入学しました。デザイン科なので比較的美術の中では社会と接続するような仕事、作品発表をしてきております。東京藝術大学の数多くの先輩はヨーロッパに留学しました。絵画科ですとフランスで勉強してそれを日本に持ち帰り、後進の育成に役立てていき、現在に至るわけです。このように西洋をお手本にしているわけですが、最近よく耳にする「資本主義というものの次なるアップデートをしていかないといけないね」というのと同じように、芸術のアップデートも今迫られているのです。SDGs(持続可能な開発目標)がここ5年ぐらいキーワードとして出てきておりますが、17の目標、169のターゲットの中には芸術とかアートは出てきません。しかしあえて東京藝術大学はSDGsに取り組むこととしました。藝大、芸術というものが社会に役に立つのだ、機能しているのだ、ということを示すため、しっかりと伝えるために、SDGsと藝大を結び付けた展覧会、そしてキャンペーンを行いました。それを創造するのがご覧いただいているマークです。講師演題日比野 克彦 氏(東京藝術大学学長)アートの力で社会課題の解決を図る令和4年10月24日(月)開催令和4年度職員 トップセミナー

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