ファイナンス 2023年2月号 No.687
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00050 〈10代〉理由1位2位3位買いに行く手間がない価格が安い欲しい製品が店舗で販売していない〈20代〉理由1位2位3位買いに行く手間がないポイントが貯まる価格が安い〈30代〉理由1位2位3位買いに行く手間がないポイントが貯まる価格が安い(出所)株式会社富士経済「新型コロナウイルスを契機に拡大する化粧品EC市場の現状と将来展望」、株式会社TesTee「コスメのEC利用に関する調査【2021年版】」、経済産業省「電子商取引実態調査」、株式会社NTTコムリサーチ「化粧品購入行動に関する調査結果」、KATE TOKYO・花王・POLA・L’ORÉALPARISの各HPリフレッシュする自分に自信が持てるリラックスした気持ちになる自分を大切にしている気持ちになる将来の肌の美しさへの安心感自分に自信が持てる引き締まった気持ちになる明るい気持ちになる楽しい気持ちになる元気な気持ちになるタイルに関するアンケート」、独立行政法人製品評価技術基盤機構「2020年度化粧品産業動向調査報告書」・ECサイトで化粧品を購入する理由として、安価さ・手軽さが挙げられている(図表10)。一方で日本の高価格帯の化粧品は、専門スタッフが個々の消費者の好みに合った商品を提供している点が評価されている(図表11)。EC販売において、低価格競争に巻き込まれないためには、製品本来の良さを消費者に理解してもらうための戦略が必要とされる。・ECでは安価な化粧品が多く展開されるため、高価格帯商品をそのままECで販売するだけでは訴求力として不十分である。高品質な商品の価値を店頭で販売する時と同様に、消費者に認知されるためには、低価格品との明確な差別化が必要とされる。・実際にコロナ禍で人との接触が制限され、店舗から客足が遠のくなかで、デジタル技術を活用したリアルに近い、購入体験を提供する仕組みが急加速で進化している。スマートフォンアプリやAI(人工知能)を活用して肌状態を分析、個人仕様の化粧品を提案する企業も出てきている(図表12)。韓国でもデジタルやAIを活用した販売手法が多く取られるようになっているが、日本の化粧品の高品質な商品価値をデジタル・AIで更に訴求することができれば、他国と差別化を図ることができるであろう。(図表10)コスメ購入で ECサイトを利用する理由・消費者が化粧品を購入する際に期待することは「その商品を使用することで自分をよりよく見せられるか」「自分の気持ちを上げることができるか」等である(図表13)。コロナ禍以前はタッチアップや商品のテスターを通して、消費者は商品から得られる充足感を想像しやすかったが、コロナ禍以降は対面販売が減少した。代替チャネルとなり得るECでも対面販売と同じように消費者の購買意欲を掻き立てる必要があり、そのためにデジタルやAIを活用することが求められる(図表14)。・また、コロナ禍でアジアを中心とした一部の国ではマスク着用者が依然多く、その影響により国外でもスキンケアへの需要が高まっていると考えられる(図表15)。日本のスキンケア商品は、科学的検証に基づいた高機能製品として従来から需要が高い。こうした現在の環境が生み出す新たなニーズを取り込み、日本の強みを活かした商品を打ち出す必要があるだろう。・スキンケア商品の割合が高い点が日本市場、アジア市場で一致しているため、日本の強みを活かしやすいのはやはりアジア地域であると考えられる。人口減少により国内市場の縮小が見込まれるため、日本の優位性を活かし、低価格とは異なった差別化を図ることでアジア圏へ更に販路を広げることが重要である。(図表13)化粧をすることで得たい 気持ち・気分<スキンケア>10<メイク>10(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。203040(%)304050(%)(%)68.158.341.7店員から提案・アドバイスがあったから成分を確認してそのブランド・メーカーが好きだったから(%)61.856.650.8口コミで評判が良かったからミニサイズの購入をして、試してよかったら無料のテスター・試供品を(%)64.362.452.7試してよかったら32.731.028.927.721.328.643.426.321.118.120(注)n:18歳~69歳の女性:1,086スマートフォンのカメラを使ったバーチャルメイク体験AIがその人にあった化粧品の組み合わせや化粧方法、商品の提供が受けられるサービス高性能カメラで撮影するだけで肌診断を行い、自分にあった化粧品の提供が受けられるサービスAIチャットボットなどAIによる化粧品カウンセリング肌の手入れや化粧方法などの相談ができるアドバイザーと1対1のオンラインカウンセリング月平均5,000円以上月平均5,000円未満7.16.5(%)(注1)高額化粧品を1アイテムで5,000円以上とする。(注2)n:18歳~69歳の女性:1,08625.050.00.010化粧品ブランド・企業名コンテンツKATE(企業名:カネボウ化粧品)KATESCAN花王公式LINE(SNS)アカウント開設POLAAPEXL’ORÉALPARISバーチャルで色身を試す(注)中国・日本・韓国・台湾・香港の市場規模を足し合わせたものを割合にしグラフ化(出所)ポーラ文化研究所「化粧文化調査2020レポート」、NTTコムリサーチ自主調査「No.254化粧品購入行動に関する調査結果」、株式会社アイスタイル「美容とライフス(%)15スキンケアへの関心「おうち美容」にかける時間ボディケアへの関心ヘアケアへの関心メイクアップへの関心13.51111(注)n:日本国内在住15歳~69歳の女性:10,915(図表16)アジア製品カテゴリー別 4.8%14.5%3.3%17.0%60.3%概要AI技術を活用して顔の黄金三角比率や5眼比率といった各部のパーツ比率測定を行うことが可能。測定の結果に応じて自分に合ったメイクを提案してくれる。プレステージ領域と呼ばれるいわゆる「最高級ライン」の化粧品について、オンライン・オフラインに関わらず購入した顧客の情報を一元管理。顧客の嗜好に合わせた情報を提供することが可能となった。16歳以上の女性の肌データと最新の研究を組み合わせ、AIを活用し分析。最適な製品やケアを提案する仕組みを構築。HPの色身を試すのページより、写真をアップロードすることで製品を試すことができる206080(%)スキンケア商品割合日本:53.1% 世界:35.6%メイクアップヘアケア655451503240スキンケアフレグランスメンズ(図表11)高額化粧品の購入の決め手になること (年間化粧品購入額別)〈複数回答〉(図表14)化粧品メーカーなどが提供・ 検討しているサービスのうち関心があるもの(図表12)スマートフォンアプリ・ 人工知能活用の具体例(図表15)新型コロナウイルスの影響による 行動・気持ちの変化コラム 経済トレンド 104出荷額割合ファイナンス 2023 Feb. 61化粧品産業におけるDX化粧品産業の展望

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