ファイナンス 2023年2月号 No.687
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2021年2020年2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年0755100(兆円)2.01.51.00.50.0(出所)パノラマデータインサイド「自然化粧品市場」、経済産業省「商業動態統計」、財務省「貿易統計」(「輸出入金額」、「輸入金額」、「概況品別国別表」)(出所)株式会社グローバルインフォメーション「韓国コスメ市場の成長機会・成長予測(2021-2027年)」、三井物産研究所「日韓化粧品産業の比較からの考察」、薬史学雑誌(億ドル)1,5001,0005000・世界の化粧品化学品市場は、2021年420.3億ドルから2030年1075.3億ドルまで、年平均11%の伸び率で成長することが予測されている。その要因として、継続的な研究開発投資、個人の可処分所得の増加と購買力の増加、天然成分を配合した化粧品の需要の増加が考えられている(図表1)。・日本国内の化粧品市場規模は、新型コロナウイルスの影響を受け2年連続で減少し、2021年度で1兆3,529億円となっている(図表2)。また、日本からの輸出が日本への輸入を大きく上回る傾向が続いており(図表3)、中国をはじめアジア圏の需要が大きく成長している(図表4)。・一方で、日本の主要輸出先であるアジア圏では、日本以外のアジアブランドの伸長が著しく、今後は日本製品との競合が激しくなることも予想されている。コロナ禍により国内外問わず人々の行動・生活様式が変化し、化粧品の購買行動も変化している。厳しい市場環境を勝ち抜くためには、コロナ禍で生まれた新たなニーズを取りいれた商品展開、販売方法等が市場拡大の鍵となっていくと思われる。(図表1)世界の自然化粧品市場・輸出の成長が著しいアジアブランドの代表が、韓国である。世界全体でみた輸出額は世界第2位で、日本を上回っており(図表5)、今後韓国化粧品の市場規模は、輸出を含めて2019年102億ドルから2027年139億ドルまで成長すると予測されている(図表6)。・韓国化粧品の成長の背景には、低価格帯ブランド戦略(図表7)、ECの利用増加等の要因が考えられる。韓国国内のスキンケア用品のEC比率は実店舗全体の販売比率並のシェアを占めている(図表8)。・一方、日本の化粧品の強みは世界トップクラスの品質であると認識されていることである。例えば、国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)の国際学会での受賞件数が他国と比べて突出している(図表9)。科学的根拠に基づいた製品を開発できることが日本の化粧品産業の成長要因のひとつであると考えられる。また、化粧品購買時において、専門の販売員が常駐していることも日本の化粧品への信頼感に繋がっていると言えるだろう。その他35%フランス 15%韓国 11%シンガポール 9%ドイツ 6%香港 7%日本 9%アメリカ 8%CAGR9.0%102502019年2021年「化粧品の科学技術の発展における日本の貢献」CAGR11%420.32012201320142015201620172018201920202021(年)1075.3国名日本韓国フランス実店舗販売  化粧品専門店  百貨店  ドラッグストア・薬局  総合小売、食品スーパーほかECダイレクトセリングその他(注)EuromonitorInternationalデータより(1,000億円)9876543210輸出金額輸入金額1392027年(兆円)76543210中国韓国台湾東南アジア6カ国2012年2014年2016年2018年2020年2022年(注)東南アジア6カ国…タイ・インドネシア・マレーシア・ベトナム・シン(件)403530252015105037日本フランスドイツアメリカイギリス(注1)国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)には、世界各地49のガポール・ミャンマーを指す。2022年は10月までのデータを反映韓国38.312.08.615.91.833.418.210.1Society が加盟し、総会員数は約16,000名(注2)IFSCC発表論文の国別受賞件数、1970~2016受賞総数80件のうち、日本受賞数37件(46%)12(図表5)2020年対世界化粧品輸出国の割合(図表6)韓国企業による化粧品販売額予測(億ドル)1502030年(図表2)国内化粧品出荷額(図表3)日本の輸出入金額の推移(図表7)化粧品の輸出数量当たりの金額(2020年)単価(ドル/㎏)輸出額(百万ドル)輸出量(千t)1372778635,8166,48616,610(注1)輸出額、輸出量ともにHSコード3303~3305、33072000の合計(注2)日本と韓国は2020年の輸出額と輸出量で、フランスは2019年の輸出額と輸出量で単価を算出(注3)UNcomtradeデータ(図表8)スキンケア用品の販売チャネルシェア432319日本73.016.914.825.116.214.510.22.3(図表4)アジアの主要輸出先推移(図表9)IFSCC発表論文の 国別受賞件数上位5カ国抜粋 60 ファイナンス 2023 Feb.大臣官房総合政策課 調査員 河野 愛/胡桃澤 佳子本稿では、日本の化粧品産業の強みと、今後の世界の中での市場拡大に向けた課題について考察する。コラム 経済トレンド104化粧品産業の市場規模日韓化粧品産業比較日本の化粧品産業の展望

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