ファイナンス 2023年2月号 No.687
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主計局総務課主計官 一松 旬日本経済については、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しが続いている。一方、世界的なエネルギー・食料価格の高騰や欧米各国の金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、日本経済を取り巻く環境には厳しさが増している。(参考)令和4年度の実質GDP成長率は1.7%程度、名目GDP成長率は1.8%程度と見込まれており、令和5年度はそれぞれ1.5%程度、2.1%程度と見込まれている。一方、財政状況に目を転じれば、日本の財政は、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応や累次の補正予算の編成等により、過去に例を見ないほど厳しさを増している。財政は国の信頼の礎であり、有事であっても日本の信用や国民生活が損なわれないようにするため、平素から財政余力を確保しておくことが不可欠であると考えている。責任ある経済財政運営を進めるに当たっては、経済あっての財政という方針に沿って、経済再生と財政健全化の両立を図ることが重要である。引き続き、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)等における2025年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出・歳入両面の改革を着実に推進していく。昨年10月28日に、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定された。 2 ファイナンス 2023 Feb.1. 令和4年度第2次補正予算及び 令和5年度予算編成の背景2.令和4年度第2次補正予算の概要(1)令和4年度第2次補正予算のポイント(2)令和4年度第2次補正予算のフレームこの経済対策は、足元の物価高や世界経済の下振れリスクを乗り越え、社会課題の解決と持続的な成長の実現により日本経済を再生するためのものであり、令和4年度第2次補正予算はこれを実行するために編成された(昨年12月2日成立)。令和4年度第2次補正予算の歳出においては、経済対策の実行に係る経費として29兆861億円を計上している。このほか、国債整理基金特別会計への繰入れを行うとともに、既定経費を減額している。一方、歳入においては、租税等の収入について、最近までの収入実績や企業収益の動向等を勘案して3兆1,240億円の増収を見込んでいる。また、税外収入について、6,731億円の増収を見込むほか、前年度剰余金2兆2,732億円を計上している。以上によってなお不足する歳入について、公債を22兆8,520億円発行することとしている。この結果、令和4年度一般会計第2次補正後予算の総額は、一般会計第1次補正後予算に対して歳入歳出ともに28兆9,222億円増加し、139兆2,196億円となる。また、令和4年度の公債発行額は62兆4,789億円となる。令和4年度第2次補正予算及び 令和5年度予算について

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