ファイナンス 2023年2月号 No.687
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4システム上重要な銀行に関する 4.2 「ウィンドウ・ドレッシング」の問題評価基準規模相互連関性複雑性クロスボーダーな活動指数の平均評価基準規模相互連関性代替可能性 /金融インフラ複雑性図表7 D-SIBs選定にかかる評価指標評価指標ウェイトファイナンス 2023 Feb. 47*23) 詳細は下記を参照してください。 *24) 「国内のシステム上重要な銀行の取扱いに関する枠組み」では、特定メソッドの開発など、11の原則が記載されていますが、詳細を知りたい読者は鈴https://www.fsa.go.jp/inter/bis/20180709-1.pdf木(2012)を参照してください。(出所)BIS(注) 「金融機関等向け与信」および「金融機関等に対する債務」については監督指針により詳細な記述がありますが、ここでは紙面の関係上カットしています。詳細は監督指針をご参照ください。(出所)金融庁「主要行等向けの総合的な監督指針」より抜粋調整前 スコア250÷1=250(300+125+200)÷3=208.3代替可能性/金融インフラ(500+2000+10)÷3=836.6(375+400+400)÷3=391.6(75+50)÷2=62.5カテゴリー 毎のキャップ最終 スコア250208.3500391.662.5バーゼルIIIレバレッジ比率のエクスポージャー合計額25%5%金融機関等向け与信金融機関等に対する債務5%発行済有価証券(担保付社債、一般無担保社債、劣5%後債、短期社債、譲渡性預金及び株式)の残高5%時価のあるその他有価証券のうち株式の額一般預貯金等のうち、残高が1,000万円を超える場5%合のその超過する部分の額直近に終了した事業年度における日本銀行金融ネットワークシステム、全国銀行資金決済ネットワークその他これらに類する決済システムを通じた決済の年間の合計額(日本円での決済分に限る。)信託財産及びこれに類する資産の残高(国内居住者からの預り分に限る。)直近に終了した事業年度における債券及び株式に係る引受けの年間の合計額(国内の債券市場及び株式市場における引受けに限る。)金融商品市場等によらないで行う金融機関等との派生商品取引及び長期決済期間取引に係る想定元本の額の残高8.33%8.33%対外与信の残高対外債務の残高8.33%5008.33%8.33%8.33% 図表6 G-SIBスコアの計算例システム上重要な銀行入門4.1 D-SIBsの定義その他の論点追加、(3)保険子会社の算入、(4)開示規制の見直し、(5)バケット低下時におけるG-SIBsサーチャージの取扱いの明確化、であり、2020年末より実施されるとされました*23。特に、「代替可能性/金融インフラ」の項目に「証券トレーディング」という小区分(ウエイト3.33%)が追加され、その代わりに「証券引受」のウェイトが半減しています。もっとも、コロナの影響を考慮し、この導入が延期され、2022年から改定された手法に基づくG-SIBスコアが公表されています。前述のとおり、G-SIBスコアが130を下回った場合、G-SIBsという取り扱いはなされませんが、各国当局によって国内でシステム上重要であると判断されれば、D-SIBsとして取り扱われます。G-SIBsは2011年に公表されましたが、2012年にBCBSは、「国内のシステム上重要な銀行の取扱いに関する枠組み」に係る最終報告書を公表しています。G-SIBsに対して、D-SIBsフレームワークはG-SIBsフレームワークの補完的な位置づけとされています。D-SIBsの判定については、規模、相互連関性、代替可能性、複雑性という4つの評価基準に基づいており、クロスボーダーな活動という点以外はG-SIBスコアの基準と整合的です*24。図表1にあるとおり、D-SIBsバッファーは金融庁長官の指定により0.5%~1.5%とされています。我が国については、連結ベースで総資産が15兆円以上の国内の銀行等が評価対象とされ、前述の「規模」、「相互連関性」、「代替可能性/金融インフラ」、「複雑性」の4つの基準に関連する12指標を用いて、各銀行等のスコアが算出されます(図表7を参照してください)。国際統一基準の適用を受ける者(最終指定親会社を含む)を対象に、当該スコアに加え、特定の市場における重要性等、各銀行等の特性も踏まえた総合的判断を行い、システム上重要と評価された銀行等をD-SIBsに選定しています。G-SIBsに指定された場合、当該銀行の行動に大きな制約がかかるため、各銀行はより重い規制がかからないよう、年末にかけてバランスシート(BS)を調

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