ファイナンス 2023年2月号 No.687
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*17) 詳細は下記を参照してください。 *18) FSBの資料では「The capital buffer requirements for the G-SIBs identi■ed in the annual update each November will apply to them *19) 詳細は下記を参照してください。 *20) 詳細は下記を参照してください。 *21) ユーロ建てであることに、対象国が多かったことも考えられますが、国際比較をするうえではどこかの通貨建てで■える必要はあり、米国がドルに対評価基準相互連関性代替可能性 /金融インフラ複雑性クロスボーダーな活動評価指標規模ウェイトファイナンス 2023 Feb. 45*15) 例えば、植田・服部(2019)ではIMFのグローバル・インバランスにかかるモデルを説明していますが、ここでもスタッフ調整がなされるフェーズがあります。*16) 例えば、Risk.netにおける「Whatʼs Finnish for ʻtoo big to failʼ? Strange case of Nordea highlights ■aw in G-Sib assessments」などを参照してください。https://www.risk.net/our-take/6209381/whats-■nnish-for-too-big-to-failhttps://www.fsb.org/2021/11/fsb-publishes-2021-g-sib-list/as from January fourteen months later」としています。詳細は下記をご参照ください。https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P211122.pdfhttps://www.bis.org/bcbs/publ/d296.pdfhttps://www.bis.org/bcbs/gsib/denominators.htmして特段こだわりがなかったこともあったとされています。Bank indicator(euro)×10000=Indicator score(bps)Sample total(euro)(出所)BIS金融機関向け資産金融機関への負債発行済有価証券決済取引預り資産証券引受証券トレーディングOTC デリバティブ想定元本レベル3資産対外与信対外負債規模20%6.67%6.67%6.67%6.67%6.67%3.33%3.33%6.67%売買目的有価証券及びその他有価証券6.67%6.67%10%10% 図表4 G-SIBスコアの内訳システム上重要な銀行入門3.3 G-SIBスコアの定義璧でないことを規制当局が一定程度認識しているともいえますが、国際機関が有するモデルでは、このような問題からスタッフによる一定の調整がなされることが少なくありません*15。筆者の知る限り、我が国ではこの調整はいまだ発動されていませんが、ノルディアなど、他国ではすでに事例がある点にも注意してください*16。G-SIBsについては、G-SIBスコアに立脚して、G-SIBsの対象行を毎年見直しています。また、G-SIBsを選定する枠組みそのものについても、定期的に見直されています。当初、その枠組みの見直しは3年に1度とされていましたが、2021年11月に、必要に応じて改定される形に変更されました*17。また、G-SIBスコアの更新に伴い、銀行に求められる追加的な資本が変更された場合、FSBからG-SIBsのリストが公表されてから14か月後にその対応が求められる点も特徴です*18。ここで、G-SIBスコアについて、もう少し丁寧に説明します。まず、G-SIBスコアは下記のように定義されています*19。分子であるBank indicatorは、図表4にある5つの評価基準の平均になります。例えば、規模(Size)であれば、レバレッジ比率を計算する際の分母であるエクスポージャー額になります(それぞれの項目については後述します)。5つのカテゴリーのウェイトは同じウェイト(20%)とされています。もっとも、図表4に記載されているとおり、各評価基準の中に、細分類があり、例えばクロスボーダーな活動であれば、与信と負債でそれぞれ10%とされています。一方、分母であるSample totalは、この指標を標準化するものであり、バーゼルⅢのレバレッジ比率をベースにしてセレクションされた75の銀行のデータを用いて計算されます(その結果は国際決済銀行(Bank for International Settlements, BIS)のウェブサイト*20で公表されています)。上記の定義式にはEuroと記載されていますが、この計算をするうえでユーロ建て*21に直されることを意味しています。また、このようにSample totalで割っていることから、G-SIBスコアは相対的な値であることが理解できます。ちなみに、米国の銀行については、このG-SIBスコアに加えて、FRBによる評価(これをMethod 2といいます)も加わりますが、FRBによるMethod 2については後述します。3.4 G-SIBスコアにおける評価基準の詳細以下では、(1)規模、(2)相互連関性、(3)代替可能性/金融インフラ、(4)複雑性、(5)クロスボーダーな活動についてそれぞれの定義を簡単に整理します。

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