ファイナンス 2023年2月号 No.687
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ウクライナ危機による食糧価格などの物価高騰、先進国の利上げ等による通貨安など、開発途上地域の脆弱性が高まっていることから、開発途上国等に対する緊急財政支援を通じ、社会経済の安定等に寄与することで、経済安全保障の強化を図る。我が国の国際協力に係る政府方針(インフラシステム海外展開戦略の実施や質の高いインフラの推進等)に基づき令和4年燃料価格高騰の影響を受ける本邦電力・ガス会社等の日本企業による燃料輸入のための金融支援を行う。グリーンやデジタルなど日本企業が強みを有する分野の海外展開や、日本企業のサプライチェーン強靱化を金融面で支援する。足下でのエネルギー価格高騰により厳しい状況にある事業者に対する資金面での支援を実施するとともに、脱炭素社会実現に向けたGXに資するインフラ整備(脱炭素・トランジションに向けた取組、再エネ拡大に向けた送配電網等の整備等)を推進するための金融支援を行う。政府保証付きのグリーンボンド(※)を追加で発行し、省エネ性に優れた住宅の普及を促進する。追加のある財投機関と追加事由(独)国際協力機構度に実施中の事業について、円安の影響を受けた追加の資金需要に対応する。※一定の省エネ基準を満たす住宅の住宅ローン債権に対応するもの。追加額:5,010億円(財政融資)追加額:7,000億円(財政融資)、▲4,000億円(政府保証)追加額:2,000億円(財政融資)追加額:200億円(政府保証)追加額:1兆210億円(うち財政融資1兆4,010億円、政府保証▲3,800億円)※今般の経済対策における財政投融資支出額は、1兆4,210億円令和4年11月8日財省務(資料1) 28 ファイナンス 2023 Feb.「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)に基づき、物価高騰・賃上げへの取組や、新しい資本主義の重点分野への投資等を推進する。(株)国際協力銀行(株)日本政策投資銀行(独)住宅金融支援機構また、スタートアップへの取組として、株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫において、高い成長性が見込まれるスタートアップを対象とする融資制度の活用等により、スタートアップへの金融支援を強化することとするほか、DBJにおいて、「DBJスタートアップ・イノベーションファンド」を活用するなど、スタートアップ及びベンチャーキャピタルへの資金供給を強化することとしている。さらに、GX(グリーン・トランスフォーメーション)への取組として、株式会社脱炭素化支援機構において、民間企業等による脱炭素化に向けた意欲的な事業活動を支援することとするほか、独立行政法人住宅金融支援機構において、グリーン債を発行することにより、省エネルギー性に優れた住宅の普及を促進することとしている。(※) 男女間賃金格差の是正や育児との両立環境整備等によるエンゲージメント向上、リスキリング、労働時間適正化、メンタルヘルス対策等(3)外交・安全保障環境の変化への対応(4)地方公共団体向け令和4年度第2次補正予算における財政投融資計画の追加について外交・安全保障環境の変化への対応については、JBICにおいて、我が国企業のサプライチェーン強靱化や、グリーン・デジタルなど先端分野における我が国企業の海外展開を支援することとするほか、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構において、我が国企業の天然ガスやレアメタル等の金属鉱物資源の安定的な供給等の取組を支援することとしている。このほか、株式会社日本政策金融公庫において、半導体や蓄電池等の重要な物資の安定供給確保を図る事業者の長期・大規模な資金需要に的確に対応することとしている。地方公共団体向けについては、地方債計画に基づき、社会資本整備や災害復旧を中心に、地方公共団体の円滑な資金調達に貢献する観点から、必要な資金需要に的確に対応することとしている。

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