ファイナンス 2023年2月号 No.687
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理財局財政投融資総括課長 原田 一寿昨年10月28日、足元の物価高や世界経済の下振れリスクを乗り越え、社会課題の解決と持続的な成長の実現により日本経済を再生するため、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策(以下、「総合経済対策」という)」が閣議決定された。この総合経済対策においては、財政投融資を活用し、物価高騰への取組や、「新しい資本主義」の重点分野への投資等を推進する政策が盛り込まれた。これを踏まえ、令和4年度第2次補正予算において、独立行政法人国際協力機構による開発途上国等に対する緊急財政支援、株式会社国際協力銀行(以下、「JBIC」という)による燃料価格高騰の影響を受ける本邦電力・ガス会社等に対する燃料輸入のための金融支援、株式会社日本政策投資銀行(以下、「DBJ」という)による脱炭素社会の実現に向けたGXに資するインフラ整備を推進するための金融支援等、総額1兆210億円の財政投融資計画を追加することとし、その政府案が11月8日に閣議提出され、12月2日に国会にて成立した。(資料1)続いて、12月23日に令和5年度財政投融資計画(以下、「5年度計画」という)が予算政府案とあわせて閣議提出された。これは、令和4年8月末に要求を受けた後、総合経済対策も踏まえつつ、財政制度等審議会財政投融資分科会における審議を経て決定したものである。 ファイナンス 2023 Feb. 271. 令和5年度財政投融資計画等の 基本的考え方2. 令和5年度財政投融資計画のポイ3.令和5年度財政投融資計画の主な施策(1)事業者への資金繰り支援ント(資料2)(2)「新しい資本主義」の加速5年度計画の総額は、16兆2,687億円であり、新型コロナウイルス感染症に加え、物価高騰の影響も重なって厳しい状況にある事業者への資金繰り支援に引き続き万全を期すとともに、「新しい資本主義」の加速や外交・安全保障環境の変化への対応等を行うこととしている。事業者への資金繰り支援については、株式会社日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫及び独立行政法人福祉医療機構において、新型コロナウイルス感染症に加え、物価高騰の影響も重なって厳しい状況にある事業者への資金繰り支援に引き続き万全を期すこととしている。「新しい資本主義」の加速については、「人への投資」への取組として、DBJにおいて、人的資本に関する非財務情報(※)に着目した融資制度を強化し、企業の人的資本に対する取組を促すこととするほか、株式会社日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫において、「健康経営優良法人」と認定された中小企業等を支援することとしている。このほか、日本私立学校振興・共済事業団において、デジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成に向けて大学の学部再編等を支援することとしている。令和5年度 財政投融資計画について

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