ファイナンス 2023年2月号 No.687
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(参考4)税関事務管理人制度非居住者が自ら輸入者となってFS利用貨物を輸入する場合等には、非居住者は輸入申告等の事務を処理させるため、国内居住者を税関事務管理人として定め、税関長に届け出ることとされている。通関業者や非居住者の関連者を定めることが多い。 令和5年度税制改正(関税)について 【図:税関事務管理人の指定】ファイナンス 2023 Feb. 25また、税関事務管理人制度について、税関が税関事務管理人を通じて行う非居住者への調査等の実効性を高めるため、非居住者が税関事務管理人の届出をしない場合に、税関長が一定の国内関連者を税関事務管理人として指定できる等の規定を整備する。さらに、適切な者が税関事務管理人として届出され、又は税関長が適切な者を指定できるよう、税関事務管理人の届出項目に「届出者(非居住者)の事業」等を追加する。(参考3)FS利用貨物ECプラットフォーム事業者等が海外の販売者等に対して提供する国内での倉庫保管、配送等の代行サービス(フルフィルメントサービス:FS)を利用して国内で販売することを予定して輸入される貨物。4. 知的財産侵害物品の認定手続にお5. 入国者が携帯等して輸入する加熱ける簡素化手続の対象拡大式たばこに係る簡易税率の新設3.急増する輸入貨物への対応越境電子商取引(EC)の利用拡大に伴い、輸入申告件数が年々増加しており、特に通販貨物の輸入が急増していることに加え、FS利用貨物の輸入も目立っている。こうした中、航空貨物等による不正薬物や知的財産侵害物品の密輸が増加しているとともに、FS利用貨物については、輸入時点では売買が成立しておらず取引価格が存在していない中で、不当に低い価格で輸入申告し、関税等をほ脱する事案が顕在化している。このような状況に対応するため、税関が審査・検査を行うべき貨物の絞込みに資するよう、輸入申告項目に「通販貨物に該当するか否か」(ECプラットフォームを利用して販売した通販貨物の場合は「ECプラットフォームの名称」を含む。)、「国内配送先」及び「輸入者の住所及び氏名」を追加する。税関の認定手続(輸入貨物が知的財産侵害物品か否かを認定する手続)においては、平成19年に商標権等を対象とした簡素化手続が導入されたが、特許権等については、輸入差止件数が少なかったこと等から、その対象に含めなかった。近年、越境ECの進展等に伴い、特許権等に係る輸入差止件数が増加し、権利者にとって、証拠・意見の提出に伴う業務や弁理士・弁護士への依頼費用等の負担が大きくなっている。そのため、権利者の事務負担軽減等の観点から、認定手続における簡素化手続の対象に特許権、実用新案権、意匠権及び保護対象営業秘密を追加する。(参考5)簡素化手続輸入差止申立てに係る貨物について、輸入者が知的財産侵害の該否を争わない場合に、税関長が、権利者に証拠・意見の提出を求めることなく侵害の該否を認定する手続。入国者が携帯等して輸入する加熱式たばこについては、簡易税率の適用はなく、関税、たばこ税、消費税及び地方消費税が課されるが、特にたばこ税額の計算方法が複雑であることから通関手続に時間を要しており、また、入国者にとっても課税額の予見可能性が低いという問題がある。そのため、迅速通関等の観点から、加熱式たばこに係る簡易税率を新設し、水準については、課税対象としてスティック型及びリキッド型を区分して法令に規定した上で、スティック型1本当たり15円、リキッド型1個当たり50円とする。

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