ファイナンス 2023年2月号 No.687
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電子帳簿等保存制度の見直し(優良電子帳簿の範囲の見直し)(案)〇優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の対象帳簿(所得税・法人税)の範囲について、以下の合理化・明確化を行うこととする。仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿(全て)仕訳帳、総勘定元帳その他必要な帳簿【優良な電子帳簿に位置づけられる「その他必要な帳簿」の取引に関する記載事項(法人税の場合)】売上げ(加工その他の役務の給付等売上げと同様の性質を有するものを含む。)その他収入に関する事項仕入れその他経費(賃金・給料・法定福利費・厚生費を除く。)に関する事項売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項手形(融通手形を除く。)上の債権債務に関する事項その他の債権債務に関する事項(当座預金を除く。)有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項減価償却資産に関する事項繰延資産に関する事項(注1)優良な電子帳簿に位置づけられない「その他必要な帳簿」の取引に関する記載事項の例:現金の出納に関する事項(現金出納帳)、当座預金の預入れ及び引出しに関する事項(当座預金出納帳)、上記以外の資産に関する事項(上記以外の資産台帳)(注2)所得税の場合は、費用(経費)に関する事項のうち、雇人費、青色専従者給与額及び福利厚生費(賃金台帳)も優良な電子帳簿の対象とする。(注3)上記とあわせて、対象帳簿の範囲を明確化するための運用上の措置を講ずる。現行「その他必要な帳簿」については、以下の記載事項に係るもの(補助帳簿)に限ることとする。記載事項見直し案帳簿の具体例売上帳仕入帳、経費帳(賃金台帳を除く。)売掛帳買掛帳受取手形記入帳、支払手形記入帳貸付帳、借入帳、未決済項目に係る帳簿有価証券受払い簿(法人税のみ)固定資産台帳繰延資産台帳※「その他必要な帳簿」については、法令に基づき一定の取引に関する事項を記載しなければならないとされている。【優良な電子帳簿の対象帳簿の考え方】申告(課税所得)に直接結びつきやすい経理誤り全体を是正しやすくするかどうかといった観点から以下の帳簿を対象とする。〇損益計算書に記載する科目については、課税標準や税額の計算に直接影響を及ぼすことを踏まえ、その科目に関する補助帳簿の全て〇貸借対照表に記載する科目については、損益計算書に記載する科目との関連性が強く、その科目の変動について把握する必要性が高い科目に関する補助帳簿に限定 資料19令和5年度税制改正(国税)等について ファイナンス 2023 Feb. 21(3)課税・徴収関係の整備・適正化(4)酒税の特例措置の見直し(5)災害による被害へのきめ細かな対応仮装・隠蔽の積極的な行為を伴わないため重加算税の対象とはならないものの、税に対する公平感を大きく損なうような事例が生じている中、申告義務を認識していなかったとは言い難い高額な無申告に対し、無申告加算税の割合を引き上げる。また、連年にわたって繰り返し無申告加算税等を課される者が行う更なる無申告に課される無申告加算税等を加重する措置を講ずる。(資料20、21)地域性などを踏まえた多様な酒類の製造などに積極的に取り組み、酒類業の健全な発達に寄与する中小事業者に対して支援を行う観点から、新たな酒税の軽減措置を講ずる。あわせて、現行の酒税の特例措置は廃止し、新たな特例措置への移行に伴う激変緩和のための経過措置を講ずる。(資料22)大規模な災害の発生に備え、著しい被害に対する不安を解消する観点から、一層の税制上の対応を講じることが重要である。こうした点を踏まえ、特定非常災害法上の特定非常災害による損失に係る雑損失及び純損失の繰越期間について、損失の程度や記帳水準に応じ、例外的に3年から5年に延長する措置を講ずるほか、相続時精算課税の下で受贈した土地・建物について、災害により一定以上の被害を受けた場合は、例外的に相続税の課税価格を再計算することとする。

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