ファイナンス 2023年2月号 No.687
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笠岡税務署 総務課長小笹 恭央 98 ファイナンス 2023 Feb.[笠岡諸島]当署がある笠岡市は、瀬戸内海に面した港町で、江戸時代は天領として栄え、明治以降も備中地方の産業・交通・文化の要衝として発達してきました。国営事業として約22年を費やして完成した広大な笠岡湾干拓地の先に、日本遺産「笠岡諸島」が広がっており、そのうちの7つの有人島へはJR笠岡駅近くの港から出航するフェリーで訪れることができます。旧山陽道に面した井原・矢掛地区は、江戸時代は参勤交代の宿場及び農海産物を取引する市場町として栄え、その時代から備中木綿と呼ばれる綿花や藍が盛んに栽培されるようになり、そうした背景が、欧米のバイヤーから絶賛され、欧米向けに数多く輸出されている「井原デニム」など、今日の繊維産業の基礎となっています。瀬戸内海国立公園に属し、7つの有人島を含む大小31の島々からなる風光明媚な笠岡諸島は、日本遺産に認定されている「せとうち備讃諸島」の一角を構成しています。なぜ日本遺産なのかと申しますと、それは、この島々が「悠久の時が流れる石の島」だからです。はじめに笠岡税務署は、明治29年に設置され、現在、岡山県南西部の2市1町(笠岡市、井原市、矢掛町)を管轄しています(管内人口約96,000人)。管内の名所島々からは、古来より花崗岩をはじめ良質な石が産出され、江戸時代以降、大阪城石垣や日本銀行本店本館、東京駅丸の内本屋など歴史的価値のある建造物に使われてきました。いわば日本の発展を支えてきた石の島なのです。靖国神社の大鳥居や明治神宮の神宮橋にも使われているんですよ。そんな笠岡諸島から、3つほどご紹介します。・(北木島)石切りの渓谷(たに)展望台北木島にある「北木石」の採石場は、明治25年に開かれ、現在も採石が続いています。良質な石を求めて地下深くへと掘り進んだ結果、天に向かってそそり立つ絶景が誕生しており、展望台から、その壮大な景色を堪能できるため、パワースポットとして、島の観光名所になっています。なお、北木島は、お笑い芸人「千鳥」の大悟の出身地としても、近年認知されつつありますね。・(大飛島)大飛島遺跡大飛島周辺の海は東西の潮流がぶつかる難所で、古代より危険な航海の無事を祈る場所となり、島の砂州の付け根にある巨石群を信仰する都びとたちによって、島には数々の宝物が捧げられました。遺跡は、遣唐使などが航海の安全を祈った祭祀跡といわれており、貴重な出土品から「海の正倉院」と表現する専門家もいるそうです。日本遺産「石の島」と「星空版世界遺産」笠岡

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