ファイナンス 2023年2月号 No.687
100/106

96 ファイナンス 2023 Feb.【萩城下町】【萩反射炉】【恵美須ヶ鼻造船所跡】【松下村塾】【大板山たたら製遺跡】江戸時代から幕末にかけて創業していた製鉄所で、砂鉄を原料に木炭を燃焼し鉄を生産する、日本の伝統的な方法で製鉄していました。山口県内最大級の規模であり、石見系たたら遺跡の典型的事例として、多くの遺構が残っています。萩から望む日本海は、朝鮮半島まで大陸棚が達し、大島や見島など多くの島々や「瀬」と呼ばれる天然礁が多く、また、潮流が激しくプランクトンが良く育つことから多くの好漁場に恵まれています。中でも、萩沖の瀬についているエサを食べ、脂がのりふっくらとした肉厚が特徴の「瀬つきあじ」や、近くの漁場から新鮮な状態で水揚げされる高級魚「あまだい」は絶品です。この他にも、白身で濃厚な甘みを持つ「金太郎」や、須佐漁港に水揚げされるケンサキイカは「須佐男命いか」としてブランド化されています。最近ではドラマ「ファーストペンギン」のモデルにもなるなど、漁業がたいへん盛んな地域で、新鮮な魚介類が堪能できます。萩沖45kmに浮かぶ離島「見島」で血統を守り続け、和牛のルーツとも言われている国指定天然記念物「見島牛」の雄と、オランダ原産ホルスタイン種の雌を交配させて生まれる「見蘭牛(けんらんぎゅう)」は、〔瀬つきあじとあまだい〕〔見蘭牛〕幕末に産業化を目指した日本の政治・行政・経済をあらわす遺産で、城跡・旧上級武家地(萩城下町)・旧町人地(堀内地区)の3地区からなっています。萩城下町は、当時の地域社会が有していた伝統と身分制、社会経済構造を非常によく示しています。萩市椿東(ちんとう)にある遺跡で、同種の遺跡としては、伊豆の国市(韮山反射炉)と鹿児島市(旧集成館反射炉)にしか現存しない遺跡です。萩反射炉は、軍事力の強化を図るため、試作的に築造・操業されたもので、西洋の科学技術への試行錯誤を象徴しています。長州藩が設けた造船所の遺跡で、ロシアとオランダの2国の技術による造船が行われました。異なる二つの技術による造船を、ひとつの造船所で行った例は他にないと言われています。明治維新の中心人物・吉田松陰先生(萩では今でも松陰先生と呼んでいます。)が主宰した私塾で、海防の観点から工学教育の重要性をいち早く提唱し、自力での産業近代化の実現を説きました。松陰先生の教えを継いだ多くの塾生が、後の近代化・工業化の過程で重要な役割を担いました。グルメ

元のページ  ../index.html#100

このブックを見る