ファイナンス 2023年1月号 No.686
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宇品島宇品島の岩宇品灯台と楠江田島砲台跡(2)江田島砲台跡 81 ファイナンス 2023 Jan.島の周囲は遊歩道が整備されており、天気のいい日は散策にはもってこいの一押しの場所です。遊歩道から一歩降りると砂浜が点々とあり、瀬戸内海の島々を眺めながら持参したコーヒーなどを口に含めば時間がゆっくり過ぎていく感じがします。遊歩道の途中には表面が碁盤状の岩があり、その規則的な割れ目については「マグマが冷えて固まると岩石が収縮して規則的な割れ目ができる」と解説されており、太古の昔はこんな近くで火山活動があったことにびっくりです。更に遊歩道を歩いていくと、かつては陸軍の信号所であった宇品灯台への行先案内があり、しばらく登れば樹齢300年を超えるというクスノキの大木が現れます。江田島はどちらかといえば広島というより呉の沖合にある島ですが、橋が架かっているのでクルマでも行くことができます。ルートとしては、呉市を出発して音戸大橋を渡り、倉橋島を経由して北西に進み、沖美町に入ると三高山(砲台山)に通じる道があります。砲台跡の近くには駐車場があり、そこから歩いてすぐのところに日露戦争開戦に至る前に建設された軍部の砲台跡があります。ロシアのバルチック艦隊の入港を食い止める目的から、総面積およそ6万坪(198,000m2)の西日本最大規模の砲台として、2年をかけて建設されましたが、日本がロシアに勝利したことから、大砲を発射するという役割はなくなり、現在は日本土木遺産に認定されています。落ち葉を踏みしめて散策すると、明治の時代にタイムスリップしたような気になる場所です。

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