ファイナンス 2023年1月号 No.686
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142426410586141410615588355111111112120〈図表1〉令和5(2023)年度論研開講科目(予定)ファイナンス 2023 Jan. 72科目名経済論文の作成方法マクロ経済の見方経済学的思考法を身につけよう経済の基礎概念と経済指標データサイエンスと経済分析統計学基礎経済数学ミクロ経済学ミクロ経済学演習マクロ経済学マクロ経済学演習上級ミクロ経済学上級マクロ経済学計量経済学計量経済学応用(時系列分析)「R」演習(計量経済学・機械学習)「Stata」演習(計量経済学)公共経済学国際ミクロ経済学(貿易論)国際マクロ経済学(国際金融論)金融論コーポレートファイナンス債券市場株式市場為替市場日本経済と財政金融政策の現状社会保障関係費地方財政国の財務書類日本の予算制度租税理論論文執筆コマ数 PRI Open Campus ~財務総研の研究・交流活動紹介~ 15ています。これらの目的を踏まえ、論研のフル参加者は、財政経済理論に関する講義を受けるとともに、財政経済にまつわる研究論文を執筆しています。単に理論に関する講義を行うだけにとどまらず、研究論文の作成までを求めるところが他の研修にはない論研の特色だと考えています。なお、研修の期間は毎年4月から6月の3か月間ですが、この期間は通常の業務を離れて、研修と研究にのみ専念することとなっているため、受講生にとって学習効率の高い研修となっています。近年特に力をいれているのは、データ分析や機械学習等の知識の習得です。これまでの経済学の実証分析においては、古典的な統計学や回帰分析の手法を用いて、例えば説明変数の影響度を見るという研究が行われてきました。そのため、これまでの論研では、このような研究手法に対応するために必要とされる古典的な統計学や計量経済学の手法を中心に講座を開講してきました。しかしながら、近年はコンピュータの性能の飛躍的向上に伴い、今まで手に入らなかった大量のデータ(ビッグデータ)を分析に使えるようになりました。その結果、経済学の分野においても、古典的な計量経済学の手法だけではなく、データを用いた丁寧な因果関係の推論が標準的となり、機械学習的なアプローチを用いた分析も見られるようになってきています。そこで、論研でも令和2(2020)年度からは、統3.論研の講義とその現代化講義は主として「基幹科目」(ミクロ、マクロ、計量)及び「応用科目」(公共経済、金融、国際経済)から構成されており、試験等による習熟度の確認を実施しています。その他、図表1のとおり、単発の特別講義も実施しています。なお、基幹科目については、大学院導入レベルの講義を受講する「Aコース」(経済学既修者向け)か、学部レベルの講義を受講する「Bコース」(経済学未修者向け)を各自が選択することができるようにしており、各受講生の研修開始時点の習熟度に応じて適切な講義を選択できるように配慮されています。計学の基礎として、古典的統計学だけではなく、機械学習の背景にあるベイズ統計学に関する学習を追加するとともに、令和5(2023)年度からは、機械学習そのものを学習する講座を追加しています。もっとも、研修において論文を執筆してもらう理由は上記にとどまりません。昨今は大学等の研究者が政策に関する論文を執筆されていたり、理論的な背景を基に政策提言をされていたりすることもあります。これらの是非について議論が必要な場面においては、研究者の方々からは必ずしも重視されていない点や、十4.論研における論文執筆省庁が行う研修に限らず、研修一般には、講義を受けるだけでは学習した内容が身につかず、研修を実施する意味がないという場合も散見されると思います。論研では、座学にとどまらずに、実際に研究論文の執筆という学習内容の活用機会を設けることで、知識の定着を確実なものとするよう図っています。

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