ファイナンス 2023年1月号 No.686
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財務省財務総合政策研究所総務研究部研究官  内藤 勇耶内藤 勇耶 財務総合政策研究所総務研究部研究官平成29(2017)年に財務省に入省し、「国の産業投資の在り方」の策定を担当した後、高松国税局管内で勤務。令和2(2020)年7月に財務総研に研究官として着任。研究官として「パネルデータと地図からアプローチする第二子出生にかかる要因分析と提言」を執筆するなど研究を行うと共に、財務省の職員を対象とする財政経済理論研修の企画・運営の総責任者を担う。1.論研の成り立ちこの研修は今から61年前の昭和36(1961)年度に開始されたもので、大蔵省・財務省が実施する研修の中で最も歴史のある研修です。開始した当初から平成8(1996)年までは、大蔵省の職員のみならず、他省庁や民間企業の職員も参加していたそうです。その後、平成21(2009)年度に再開され、令和4年度財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、内外財政経済に関する基礎的又は総合的な調査及び研究だけでなく、史料や情報の収集・編纂、統計の作成等、更には財務省職員に対する様々な研修を行っています。今月のPRI Open Campusでは、財務総研が行う数ある研修の中でも、最も歴史のある「財政経済理論研修(以下、「論研」)」の目的や内容、業務への活用などについて、「ファイナンス」の読者の皆様に、分かりやすく紹介していきます。には第50回目の節目を迎えています。再開後は、主として財務省の職員や財務省に出向中の民間企業の職員が参加しているほか、一部の講義については、今年度より金融庁の職員も参加して、ともに学んでいます。なお、現在、論研の講義については、総合職採用に限らず、人事担当者の推薦に基づいて、一部講義を受講するなど、さまざまなかたちで研修を受けることができる仕組みとしています。財務省で働く職員は、日々の業務の中で財政や経済に関する様々な課題に関わっています。しかし、内外財政経済に関して責任ある政策を立案するには、業務で得た知識を体系的に組み合わせるとともに、より専門的な知見を得て、財政経済について国際機関や学者の方等と議論できる水準に高めることが期待されます。そのような背景の下に、国家公務員上級(現総合職)採用職員を主たる対象として、財政経済の理論を備えさせることが、論研の目的とされています。すなわち、「財務省の政策分野に関連する経済理論に関して、政策の企画立案者として必要とされる基礎的な能力を確立すること」が、論研の最大の目的です。こうした目的を達成するためには、様々な政策提言・実証分析に関する論文等を、自ら評価し良否を判断することができる知識を習得することが必要です。また国際機関で活躍できる人材や、国際会議で博士号を持つような人材が多く集まるような場においても対等に議論できるような人材を輩出することも狙いとし2.論研の目的と概要財務省は経済官庁である以上、内外財政経済に関して、理論や証拠・データに裏打ちされた効果的な政策を立案する必要があります。 71 ファイナンス 2023 Jan.15財政経済理論研修理論や分析に裏付けられた 政策の企画立案のために

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