ファイナンス 2023年1月号 No.686
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ファイナンス 2023 Jan. 62 人に浸透しているとはいまだ言い難く、特に日本酒については「蒸留酒である」「アルコール度数が高い」「熱燗でないと飲めない」といった誤解が多いです。そうした中、少しでも多くの英国人に日本産酒類の魅力を知ってもらうよう、大使館主催のイベントやレセプションに日本産酒類を提供するなどして積極的なプロモーションに取り組んでいます。 10 日英関係日英両国は、1600年に英国人航海士ウィリアム・アダムス(三浦按針)が日本に漂着して以来、1858年の日英修好通商条約締結により外交関係が開設され、1902年には日英同盟が締結されるなど長い交流の歴史があります。題です。公共サービス部門の労働者は実質所得の減少を避けるため、インフレ並みかそれ以上の賃金上昇を求めていますが、当局は財政状況が厳しい中、大幅な賃上げはインフレを悪化させるとして労働者の賃上げ要求に完全に応じてはいません。労使交渉の決裂はストライキにつながり、2022年は鉄道ストが頻発し、ロンドン地下鉄は幾度となく終日ストップしました。郵便局のストにより郵便物の配達に混乱が生じたり、法廷弁護士のストにより裁判の進行に支障を来したり、大学講師のストにより講義が休講になったりしました。他にも空港の入国審査官や公的医療制度の看護師・救急隊員もストを実施するなど、日本では考えられないような事態が2022年に入ってから頻発しています。現在、英国には63,659名(2021年)と国別では世界6番目の在留邦人がおり、進出している日本企業数は960社(2021年)と欧州ではドイツに次ぎ2番目となっています。在日英国人数は16,568名(2021年)であり、コロナ前の2019年には424,279名の英国人が日本を訪問しています。また、日本から英国への投資は約17.1兆円(2021年)と対外直接投資残高の約8%を占め、EU離脱後の新たな経済枠組みとして2021年には日英EPAが発効するなど緊密な経済関係があります。 11 終わりに以上、これまでの経験を基に英国とはどのような国かについてご紹介してきました。英国という奥が深い国について限られたページ数で語りきることはなかなか困難ですが、本稿を通じて英国に少しでも関心を持っていただければ幸いですし、お読みいただいた皆さんも是非機会があれば英国を訪問され、その魅力を体感していただければと思います。日英両国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する重要なパートナーであり、経済や安全保障といった国際社会の諸課題に共に立ち向かう中において、英国と日本の関係はかつてないほど緊密となっています。コラム3日本産酒類の振興日本では国税庁が酒類業の振興を担っているため、日本産酒類の振興も大使館財務班の仕事の一つとなっています。ウィスキーやジン、エールビール等の本場であり、パブがコミュニティにおいて重要な役割を果たす英国でも、日本産のウィスキーやジンは近年人気が高まっており、日本酒の輸出も2021年に過去最高となりました。しかし、日本産酒類が一般の英国

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