ファイナンス 2023年1月号 No.686
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FOREIGNWATCHER 1 はじめに*12021年の夏に在英国日本国大使館財務班に着任してから1年と5か月が経ちました。英国は長い歴史を持つ島国であり、王室が存続する民主主義国家であり、G7を構成する先進国であるなど、日本と似通っている部分も多い一方、伝統を大事にしながらも常に時代の流れを見極め、リスクを取って新たな未来を切り開いていく姿勢は見習うべき所があります。本稿では、英国とはどのような国なのかについてご紹介しつつ、あまり広く知られていない大使館財務アタッシェとしての仕事についても一部ご紹介したいと思います。 2 英国とは?英国は、西ヨーロッパに位置する面積24.3万平方km2(日本の約3分の2)、人口6,708万人(日本の2分の1強)の島国です。かつて大英帝国として世界の超大国であった英国は、現在のGDPでは米国、中国、日本、ドイツ、インドに次ぐ世界6番目となっています。約900万の人口を擁する首都ロンドンは、アングロ・サクソン人だけでなく、大陸ヨーロッパやアフリカ、アジアなど様々なルーツを持つ人々が生活する国際都市であり、地下鉄に乗っていると周りの誰も英語を話していないということも珍しくありません。デー(写真1 テムズ川沿いに建つビックベン。時計塔は2017年から改修工事によりストップしていたが、2022年11月に5年ぶりの復活を遂げた。)*1) 本稿は全て筆者の個人的な見解であり、筆者の所属する組織を代表するものではありません。*2) ロンドンの人口に占める「白人英国人(White British)」の割合は43.4%、「その他の白人(Other White)」は14.6%となっている(2019年時点)。https://www.ons.gov.uk/peoplepopulationandcommunity/populationandmigration/populationestimates/articles/populationestimates byethnicgroupandreligionenglandandwales/2019*3) 英シンクタンクZ/Yen社の「2022年世界金融センター指数」では、英ロンドンは米ニューヨークに続く2位。 https://www.long■nance.net/media/documents/GFCI_32_Report_2022.09.22_v1.0_.pdf) 55 ファイナンス 2023 Jan.タでは、ロンドンの人口に占める白人英国人の割合は既に50%を下回っているそうです*2。また、ロンドンは世界有数の金融センターでもあり、EU離脱後も依然としてその地位を維持し、現在でも数多くの金融機関が欧州最大の拠点をロンドンに構えています*3。ロンドンと言えば、ビックベン(国会議事堂)をイメージする方もいると思います。他にもウェストミンスター寺院、セントポール大聖堂、トラファルガー広場、大英博物館、ロンドン塔など多くの名所が存在し、「007」や「ハリー・ポッター」、「シャーロック・ホームズ」、「ノッティングヒルの恋人」をはじめ、多くの映画やドラマの舞台にもなっています。街中に多くの在英国日本国大使館一等書記官 男澤 直孝*1海外ウォッチャー英国 ~歴史と伝統が未来と出会う国

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