ファイナンス 2023年1月号 No.686
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財政制度等審議会「令和5年度予算の編成等に関する建議」について 45 ファイナンス 2023 Jan.4.文教・科学技術・少子化が進展し、教員・研究者のなり手も減少する中、量的拡大ではなく、教育・研究の質の向上につながる予算にすることが必要。・高等教育について、事業のアウトカム等を分析し、制度改善等に活かすべき。国大運交金・私学助成配分の大胆なメリハリ付けが必要。・科学技術について、産学連携等による民間資金導入拡大、研究活動国際化や人材流動性向上等に取り組むべき。5.社会資本整備・新技術活用による一層の効率化を進め、規模を抑制しつつ、「量」から「質」への転換を加速させるべき。・防災・減災、国土強靱化への対応について、ハード・ソフト一体となった対策を更に進め、効果を最大化させることが重要。・地域公共交通は、赤字補填中心の支援策からの脱却に向け、構造的な課題の解決に向けた取組を促すように政策をシフトすべき。6.農林水産・食料安全保障の強化施策については、国際分業・貿易のメリット等を踏まえつつ、スクラップ・アンド・ビルドで財源とセットで検討すべき。・米政策については、飼料用米への偏重是正や交付金単価の見直し、水田の畑地化による転作作物の生産性の向上等が必要。7.GX(エネルギー・環境)・地球温暖化対策は世界規模で取り組むべき喫緊の課題。脱炭素目標の達成に向け、あらゆる政策を一体的に総動員することが必要。・官民合わせて行われるGX向け投資において、政府が行う投資は、民間投資を促すためのものと位置付けられており、民間セクターの十分な資金の呼び水となる仕組み作りが不可欠。・GXに向けては、具体的に償還財源を確保した範囲内でGX経済移行債を発行していくことが必要。地球環境、経済、財政のサステナビリティを一体的に確保していくことが重要。8.中小企業・コロナ禍での手厚い支援の量的縮減と事後的検証が必要。事業再構築補助金は産業全体の構造転換につながる支援にシフトすべき。9.外交関係・ODAは、我が国の厳しい経済・財政状況を踏まえると、「物量」ありきではなく、個別プロジェクトごとに適切なアウトカムの設定や評価の改善を通じて「質」を高めるとともに、分野や地域の重点化、民間資金の流入促進を含めた戦略的・効率的活用を図るべき。10.デジタル・国民の利便性の向上と行政の効率化を達成するため、デジタル庁は、国の情報システム関係予算の総額管理とともに、国の情報システム全体の計画的なクラウド移行や、マイナンバー関連システムの見直し、デジタル化によって効率化される経費の特定を行うべき。Ⅱ:各論

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