ファイナンス 2023年1月号 No.686
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(■原会長から鈴木財務大臣への建議手交。左から、中空麻奈委員、土居丈朗委員、■原定征会長、鈴木俊一財務大臣、増田寛也会長代理、 田近栄治委員、冨田俊基委員。)※写真撮影時以外はマスクを着用。ファイナンス 2023 Jan. 42 財政制度等審議会「令和5年度予算の編成等に関する建議」について (3)日本の新型コロナ対策と物価高対策(2)「成果志向の支出」の徹底3日本経済の成長力と財政(1)日本経済の長期低迷な対策を行いつつ、財政状況も考慮しながら、バランスの取れた経済財政運営に向けて試行錯誤を重ねている様子が見てとれるとしている。日本も、新型コロナ対策として前例のない大規模な財政措置を講じてきたが、今まさに例外から脱却し、平時への移行を図るべきタイミングであると指摘している。物価高対策については、低所得者等にターゲットを絞り、メリハリの効いたものとすることが望ましい。激変緩和のために一定期間措置を講じる必要があるとしても、当初段階から、終期を的確に設定するなど、例外措置が長く続かないような設計とし、いたずらに延長されないようにしていくべきであると指摘している。日本は、危機対応のための支援策を、手厚く、長く続けてしまう傾向がある。しかし、財源の裏付けもないまま、必要以上に長期にわたって支援を続ければ、財政に多大な負荷がかかるばかりでなく、民間活力も損ないかねない。時機を逸することなく、必要な見直しを行っていくことを求めている。日本経済は、この30年間にわたり低迷を続けている。この30年間の状況は、財政政策を含む日本の政策対応の結果でもある。この間、様々な財政措置を講じてきたにも関わらず、日本経済の成長力が全く高まらなかったという現実を真摯に受け止め、必要な規制・制度改革等とあわせて、歳出全体を通じて「アウトカム・オリエンテッド・スペンディング(成果志向の支出)」を徹底していくべきであると指摘している。日本の財政支出対GDP比はOECD諸国の平均を大きく上回るペースで増加してきており、結果として財政赤字が継続し、1990年代初頭は200兆円台であっ

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