ファイナンス 2023年1月号 No.686
26/96

・ OECD非加盟14か国・地域(中国、アルゼンチン、ブラジル、フィジー(招待国)、ジョージア、香港、インド、インドネシア、ケニア、マレーシシドニー国際会議場内の本会合会場 *1) 46の参加国・地域は以下のとおりである。 *2) 参加企業は以下のとおり。 ・ OECD加盟国32か国(豪州、オーストリア、ベルギー、カナダ(議長)、チリ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国、米国)ア、パプアニューギニア(招待国)、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ)EY、Deloitte、Shell International Limited、Westpac、KPMG、Net■ix、CPA Australia、PwC、SAP、BHP、Corporate Tax Association、Board of Taxation国税庁 国際業務課 課長補佐 早川 美希(1) 国際課税ルールに関する新たな合意の実施に向けた執行上の課題 21 ファイナンス 2023 Jan.1OECD税務長官会議(FTA)の概要FTAは、税務行政の幅広い分野における課題について各国の知見・経験の共有や意見交換を行うことを目的として、OECD租税委員会の下に2002年に設置された、税務当局の長官級のフォーラムである。現在はOECD加盟38か国及び非加盟14か国・地域が参加している。当初は約1年半ごとに開催されていたが、税務当局間の協力の重要性が高まったことから、2019年以降は毎年開催されている。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、ここ2年間はオンラインで開催されていたが、今回は3年ぶりに対面での開催となった。今回の会議には、合計46か国・地域の長官クラスが参加したほか、アフリカ税務行政フォーラム(ATAF)、英連邦税務会議(CATA)、国際通貨基金(IMF)及び世界銀行(WB)といった国際機関のリーダーに加え、12の民間企業*2の代表が参加し、幅広い参加者により活発な意見交換が行われた。昨年9月28日(水)~30日(金)に、オーストラリアのシドニーにおいて、第15回OECD税務長官会議(FTA:OECD Forum on Tax Administration)が開催された。会議にはOECD非加盟国・地域を含む46か国・地域*1の税務当局の長官クラスが参加し、税務行政における様々な課題に関する議論が活発に行われた。我が国からは、阪田渉国税庁長官ほかが出席した。本稿ではFTAの概要、今回の会議における主要議題の背景及び議論の結果概要について説明する。なお、本文中の意見は筆者個人の見解を示したものである。2第15回FTAにおける主要議題の背景今回のFTA本会合では、(1)国際課税ルールに関する新たな合意の実施に向けた執行上の課題、(2)税務行政のデジタルトランスフォーメーション、(3)税務当局のキャパシティビルディングの3点が主要な議題として取り上げられた。以下では、税務行政に関する国際的な議論の場において、上記3点への関心が特に高まっている背景について簡単に紹介する。世界経済のグローバル化・デジタル化が進み、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化しているところ、経済実態やビジネス形態の変化を反映した国際課税制度への見直しが求められている。特に、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への対応については、近年G20をはじめとする各種国際会議で大きく第15回OECD税務長官会議(於:オーストラリア・シドニー)

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る